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阪神・近本 延長10回18打席ぶり安打 「バントないから、打て!」“岡田のささやき”で目覚めた

スポニチアネックス 2024年7月3日 5時18分

 ◇セ・リーグ 阪神3-0広島(2024年7月2日 マツダ)

 待望のお目覚めだ。阪神・近本光司外野手(29)が2日の広島戦の延長10回に自身3試合、18打席ぶりの安打となる左越え適時二塁打を放ち、チームの連敗ストップと借金生活回避に貢献した。この日、「マイナビオールスターゲーム2024」(23日=エスコン、24日=神宮)のファン投票最終結果が発表され、外野手部門で5年連続の選出。その御礼とばかりに、同じく選ばれた先発部門・才木浩人投手(25)、中継ぎ部門・岩崎優投手(33)とともに、そろって勝利への使者となった。

 長く暗いトンネルの脱出を告げる一打が、左翼の芝で弾んだ。延長10回、敵失で1点を先制した直後の1死二塁。眠れる近本が、ついに目覚めた。島内がカウント1―2から投じた外角直球を叩き、必死に追走する上本のグラブのはるか先へと運んだ。二塁走者・島田を2点目のホームへ迎え入れ、二塁塁上で安どしたような表情を浮かべた。

 「ヒットになって良かった。狙いとかない。ヒットを打つだけ。打てたので良かった」

 “岡田のささやき”が、近本を迷路から救い出す一助となった。0―0の8回無死一、二塁。終盤の絶好機で第4打席へと向かおうとした際、指揮官から呼び止められた。「ゲッツーなってもええから。バントないから、打て!」――。強く背中を押され「ありがとうございます!頑張ります!」と呼応した。意を決した男は、森下がカウント1ボールから投じた直球を鋭く中堅方向へはじき返した。結果的には、6月25日の中日戦(倉敷)第3打席から続く連続打席無安打を今季自己ワーストタイの「17」に伸ばす中飛となったが、ここ数試合、影を潜めていた低く強い弾道だった。確かな手応えを感じた瞬間だった。

 「監督なので(バントは)ないでしょ、と思っていた。呼ばれたので“思い切って打っていいよ”と言われるだろうな、と。プレッシャーにもなりますけど、監督の一言は大きい。あまり言われることないので。中野が言われているのはよくありますけど“こういう気持ちなんだな”と」

 全国のプロ野球ファンが投じた清き一票からも確かな力を得た。23、24日に行われるオールスターのファン投票結果が発表され、89万6913票を集めてトップ当選。コロナ下で開催中止となった20年を除き、新人の19年から5年連続でファン投票での選出となった。夢舞台の常連と化しながら、昨年は右肋骨骨折で出場辞退を余儀なくされており、「去年出られなかった。今年も楽しくオールスターができたら」。2年分の思いを込め、北の大地と神宮の杜で大暴れする。

 その「右肋骨骨折」を負ったのは、くしくもこの日と同じ「7月2日」だった。忌まわしき記憶は一掃。今年は再発進の日とした。輝きを取り戻したリードオフマンが、逆襲の夏を迎える。 (八木 勇磨)

 《球宴ファン投票選出 一問一答》

 ――投票してくれたファンに。

 「今年もたくさんの票をいただくことができてうれしく思っています。オールスターの舞台でプレーで楽しませられるように頑張りたい」

 ――オールスターとはどんな場所か。

 「2回目3回目と経験してすごい刺激がある場所だなと感じている。何かが変わる、いい刺激のあるオールスターになればいい。負荷がかかる方がリフレッシュになる。僕の中では、すごくいい機会だなと思って毎年頑張っています」

 ――ベンチで話したい相手は。

 「筒香さん、1年目にいろいろ話をさせてもらった。日本に復帰されてちゃんと話す場面がなかったので時間があれば。アメリカのことだったり、今考えていることだったりを聞けたらなと」

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