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巨人・井上温大が快投で“故郷に錦” マイク通じて「お父さん、お母さん、おじいちゃん…勝ったよ」

スポニチアネックス 2024年7月3日 21時33分

 ◇セ・リーグ 巨人6―1中日(2024年7月3日 前橋)

 巨人の5年目左腕・井上温大投手(23)が3日の中日戦(前橋)で今季5度目の先発登板。家族や友人が多数観戦した地元でプロ最長の8回を投げて5安打無失点という快投を披露し、3試合ぶりとなる今季3勝目(4敗)を挙げた。

 プロ初完投&初完封こそ逃したものの、5回までに自己最多タイの7奪三振。6回の1死一、三塁でカリステ、7回の1死一塁で木下、8回の無死一塁では宇佐見と3イニング連続で併殺打に打ち取って8回まで無失点で97球を投げ切った。

 最終回は2番手右腕・泉が1点失ったが、試合終了の瞬間はさすがに笑顔。ベンチで長野、大城卓といった先輩たちに優しく頭をポンポンされ、勝利の味をかみしめた。

 単独で上がった故郷でのお立ち台。井上は笑みを浮かべながらも、あくまで控えめに言葉をつないだ。

 「本当に毎球毎球温かい声援をいただいて、いいピッチングすることができました。ありがとうございます」と最初に地元ファンへ感謝。改めて大声援を浴びた。

 そして、インタビュアーから球場で観戦している家族へのメッセージを求められると、恥ずかしそうにはにかみ、なかなか言葉が出てこない様子だったが「お父さん、お母さん、おじいちゃん…勝ったよ」とマイクを通じて直接報告した。

 群馬県前橋市出身で、前橋商から2019年ドラフト4位で入団して今季が5年目。上毛新聞敷島球場は小学校、中学校と投げ続け、高校3年夏の県大会決勝で前橋育英に敗れて以来のマウンドだった。

 「やっぱり、この球場で何回も悔しい思いをして、甲子園にも行けなかったこともありますし。そういう舞台で、こういういいピッチングができたっていうのは凄い、いい恩返しができたのかなって思います」。家族、友人、恩師もかけつけたなかでの最高の97球だった。

 凱旋登板が決まってからは「わくわくしている気持ちが強かった」という。

 だが、前回登板した6月27日のDeNA戦(横浜)では2回に大城卓の2号ソロで先制してもらうも、3回に桑原、4回には佐野と2イニング連続で一発を浴びて4回5安打3失点で降板。8回、岡本和が同点の13号2ランを放って自身の黒星は消滅したが、チームは延長10回、ケラーが宮崎にサヨナラ被弾して敗れている。

 「前回の試合で打たれてしまってチームに迷惑かけてたんで。今回はなんとか長いイニング投げてチームに貢献できるようにと思って投げました」。

 先頭打者を塁に出したのは8回の一度だけ。終盤は3イニング連続で併殺打で切り抜けた。「本当に野手の皆さんがいいプレーをしてくださって、本当に野手の皆さんに助けてもらいながら、なんとか投げることができました」。故郷に錦を飾り、チームメートやファン、家族や友人に感謝、感謝だったこの日のマウンド。

 インタビュアーから「井上さんはこれまでも悔しい思いや、つらいこともあったかと思いますが、一つ、故郷・前橋での勝利というのが報われたことになったんではないでしょうか」と問われると、「そうですね…」と発して絶句し、「お帰りという言葉が聞こえます」には声を震わせて「はい…」と返すのが精いっぱい。井上にとっても観客にとっても一生の思い出に残る温かい1勝になった。

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