◇セ・リーグ 阪神5-7広島(2024年7月4日 マツダ)
蒸し暑い広島で不快な敗戦となった。スイープはできなかったが、2勝1敗ならば良しではないか。ペナントレースの勝負はまだ先である。
昨年の広島と立場が入れ替わったと考えたい。昨年のこの日7月4日の順位を見返すと、首位は阪神、広島は3位で2・5ゲーム差だった。今は阪神が3位、3ゲーム差で首位広島を追う。
昨年はオールスターをはさんで約1カ月後の8月5日、首位阪神と2位広島は1・5差と縮まっていた。このころ、阪神監督・岡田彰布が口にした言葉を覚えている。「楽しみやなあ。こんど広島とやるのが楽しみや」。余裕があった。8月15日からマツダスタジアムでの首位攻防3連戦を楽しみにしていたのだ。
ところが、そんな首位攻防戦は訪れなかった。翌8月6日から広島は1分けをはさみ6連敗。この間、阪神は10連勝し一気に突き放したのだ。
つまり、今は辛抱の時期である。無理せず2勝1敗ペースでいき、勝負の8月に臨みたい。そんな大局観をみている。
岡田は「勝負は9月」が持論だが、開幕が早まり試合消化が早い今は8月中旬が勝負期だろう。
試合は3―3同点から広島代走・羽月隆太郎に喫した二盗、三盗が痛かった。特に三盗はノーマークで虚をつかれた。逆転した後、追加点を奪えなかったのも響いた。
先発の村上頌樹は今季課題となっていた初球、あるいは第1ストライクで改善が見られた。
今季過去12試合(3日現在)で初球は36打数―11安打で被打率3割6厘、第1ストライクまで広げると64―21、3割2分8厘まで悪化する。
MVPに輝いた昨季は22試合で初球は2割5分4厘(59―15)、第1ストライクも2割4分7厘(97―24)だった。
この日も1回裏先頭、秋山翔吾に初球を右前打され、初球に二盗、悪送球もあって2球で無死三塁。先取点を献上した。
ただ、この夜の第1ストライクの結果を書いてみる。
▽見逃し 12
▽空振り 1
▽ファウル 7
▽安打 3
▽凡打 7
なぜか見逃しが目立った。打ちにきてもファウルで押し込めていた。
球威が戻ってきたのか。第1ストライクの苦手を克服しつつあると書いておきたい。 =敬称略= (編集委員)