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「きょうはお前が事を起こす日だよ!」決勝点誘発の伏兵も驚いた猛虎の「予言者」とは

スポニチアネックス 2024年7月5日 12時1分

 リーグ連覇を期す今季も、猛虎のベンチに欠かせない男がいる。原口文仁、32歳。梅野隆太郎と並び、野手最年長シーズンの「切り札」が、日々存在感を発揮している。2勝1敗で終えた2日からの広島3連戦(マツダスタジアム)でも、その一端が垣間見えた。

 カード初戦、0―0で迎えた9回裏。1死一塁で巧打者・菊池涼介が放った右翼やや右へ飛球を島田海吏が決死のスライディングキャッチ。8回に代打出場し、そのまま守備に就いた伏兵がピンチ拡大を阻止し、マウンドの岩崎優も後続を断った。ベンチへと引き揚げ、打席に備える島田へ、原口はある“おまじない”をかけた。

 「海吏、きょうはお前が事を起こす日だよ!何かあるぞ!」

 抜ければサヨナラの危機を救った好捕は、打撃にも好影響を及ぼすと踏んだ。予言的中。延長10回1死一塁、その島田が一走・小幡竜平との間でヒットエンドラン(右前打)を決め、敵失での決勝点を誘発。殊勲の28歳は「原口さんが“ほら、言っただろ!”って」と笑った。プロ15年目。百戦錬磨の男だからこそ分かる、死闘の確かな分岐点だった。

 6月2日のロッテ戦(ZOZOマリン)では、原口の熱弁がテレビの中継カメラに抜かれた。初回の攻防を終え、2回の攻撃へと向かう直前、初回に三ゴロに倒れた原口が先頭・大山悠輔に身ぶり手ぶり、熱く言葉を送ったシーンだ。相手スターターは左腕のC・C・メルセデスで、原口は「5番・DH」、大山は「6番・一塁」で、そろってスタメン出場。当時の大山は不振の真っただ中で、打率も1割台目前まで落ち込んでいた。原口は「メルセデスの印象を伝えただけ。結構特徴がある投手だから、多分(大山も)知りたかったと思う」と事もなげに回想。結果は遊ゴロながら、復調の一打につながれば――との信念が宿っていたことは想像に難くない。

 38年ぶりの日本一に輝いた昨季は、夏場以降、原口の「バモス!」の掛け声を合図に一気に頂点へと駆け上がった。首位・広島との差は「3」。一進一退を繰り返す猛虎も、不屈の男がいる限り、簡単には落ち込まない。(記者コラム・八木 勇磨)

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