◇第106回全国高校野球選手権茨城大会 下妻二10－0土浦二（2024年7月6日 ノーブルホームスタジアム水戸）
茨城大会開幕を知らせるサイレンと同時に、下妻二の背番号2はマウンドで声を上げながら思い切り腕を振った。開幕戦先発を任されたのは捕手と投手の二刀流、佐藤天馬（3年）。先発として5回2安打無失点、3番打者としても3安打2打点と初戦突破に大きく貢献し「どちらも結果を残せて良かったです」と汗を拭った。
公式戦は昨秋に1試合投げただけで「2日前に言われて自分もびっくりしたけど、楽しめた」。右腕は時折笑みを浮かべる余裕も見せ、自己最速にあと1キロに迫る137キロを計測した直球主体にねじ伏せた。コールドを決めた6回は捕手として2番手・大丸谷（だいまるや）敬太（3年）を3者凡退に導き、内田直道監督も「本当に攻守の柱。次も期待したい」と目を細めた。
佐藤天が「憧れというか、かっこいいですよね」と目を輝かせるのが人気野球漫画「MAJOR」の登場人物・佐藤寿也。作品では中学時代に捕手兼投手として活躍するシーンが描かれており「自分もどっちかではなく、両方で勝利に貢献したい」と自身と重ねた。
次戦の相手は昨夏3回戦で敗れた常総学院。試合会場も1年前と同じJ:COMスタジアム土浦だ。「次こそ自分たちの力を出し尽くして勝ちたい」。昨秋から県内無敗を誇る優勝候補にも、勢いそのままに立ち向かう。（村井 樹）
≪茨城初女子部員ノッカーに拍手≫土浦二は開幕戦で6回コールド負けを喫した。茨城県初の女子部員による試合前ノックを務めた小林ことさん（2年）は「9回まで戦ってほしかったけど、みんな頑張った」と涙をこらえながら仲間を称えた。開会式後で多くの観客が見守る中で、約3分間、内外野にノックを打った＝写真。球場中から拍手も起こり「試合は出られなくても、もっと頼られる存在になりたい」と最後の一年を見据えた。