◇セ・リーグ 阪神6-5DeNA(2024年7月7日 甲子園)
【能見篤史 視点】阪神にとっては大きな勝利だ。相手ペースだった試合の流れを、自分の方に引き込んでのサヨナラ勝ち。点の取り合いを勝ち切れたことも今後につなげたいところだ。
サヨナラ勝ちの伏線はいくつかある。まずは9回表の守りを桐敷が3者凡退で抑えたことだ。この試合で初めての3者凡退。守りから攻撃へのリズムをつくることができた。そして直後に先頭の大山が四球で出塁。常に言われていることだが、接戦になればなるほど四球は怖い。阪神はそれを生かした。さらに佐藤輝の三振の後の前川の右前打が相手に相当のプレッシャーをかけることになった。
試合を決めることになる原口の一打は、自分の経験、そして状況判断から球種、コースをしっかり絞って狙い撃ちした。原口の取り組む姿勢はずっと見てきただけに、本当によく打ったと祝福したい。
5回に野口のプロ初安打から2点を返したことが、阪神に流れを呼び込んだ。しっかりスイングができているし、6回の中犠飛とともに第1ストライクの真っすぐを打ち返す持ち味をこれからも継続してほしい。雰囲気を変える可能性を試合で示した。これからも積極的に、かつ自分のポイントで打つ意識で打席を重ねることができれば、楽しみだ。 (スポニチ本紙評論家)