◇セ・リーグ 中日2-1広島(2024年7月7日 バンテリンD)
痛快な首位叩きだ。9回1死満塁の好機、代打出場した中日・板山が、起用に応えた。
「4回くらいですかね。立浪監督から“いいところでいくぞ”と言われていたので。いろんな状況を想定して準備していました」
打った瞬間、右拳を突き上げた。2ボール1ストライクからの4球目、栗林のフォークを巧打。右前へ、はじき返した一打はプロ初のサヨナラ打だ。仲間から歓喜のウオーターシャワーを浴び、ベンチ前では立浪監督と力強く抱き合った。「最高にうれしかった。みんながうれしそうな顔で走ってきてくれた光景は、一生忘れないと思う」とかみしめた。
負けられない理由があった。支えてくれる妻子の存在だ。この日は七夕。天の川に願いをかける夜を前に、自宅には数日前から家族で笹を用意していた。
「家を出る時に“子供たちに、いいところを見せられるように”と、お願いしてきました。今日は家族が(ドーム)観戦に来ていて、スタメンではなかったですし、“いいところで回ってこい”と思っていた。みんながつないでくれたチャンスで、決めることができてよかったです」
2日連続のお立ち台。前日は、昨季ともに阪神を戦力外となった同学年の山本から3000円の栄養ドリンク「ユンケル」をもらってエース・大瀬良から移籍後初本塁打。この日は自腹購入した1000円のユンケルを飲んで守護神から殊勲打を放ち「コンビニには1000円のものしか売っていなくて。ネットで3000円のを買います」と笑った。
チームは今季2度目の劇勝で、4月5~7日の広島戦以来となる同一カード3連勝。5位ながら、首位・広島とは3・5ゲーム差だ。立浪竜が混戦模様のセ・リーグを過熱させる。(湯澤 涼)