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多士済々の阪神15年ドラフトの“大卒4人衆” 苦労人・板山が新天地でついに日の目を

スポニチアネックス 2024年7月8日 8時3分

 阪神の15年ドラフトの大卒組は個性派ばかりだ。1位・高山俊(明大)、2位・坂本誠志郎(明大)、5位・青柳晃洋(帝京大)、6位・板山祐太郎(亜大)。最初に頭角を表した高山が最初にNPBを去り、ほとんど日の目を見ることがなかった板山が、ここに来て新天地でスポットライトを浴びている。

 鳴り物入りで入団した高山は16年のセ・リーグ新人王に輝くも、伸び悩んだ。昨年オフに板山とともに戦力外通告を受け、12球団合同トライアウトでもNPBから声がかからず。オイシックス・新潟で再起を図っている。

 次にブレークしたのが青柳だ。6年目の21年に最多勝を獲得し、翌22年には最優秀防御率、最高勝率を合わせた投手三冠。下位指名入団選手に夢を与えた。地道に着々と出場機会を増やしてきたのが坂本。岡田監督が就任した昨季終盤は、正捕手として日本一に貢献し、今年4月に国内FA権も取得した。

 他の3人と違い、阪神では1軍に定着できなかった板山。ただ、金本、矢野、岡田のどの監督からも「板山は面白い」という言葉を聞いた。内外野どこでも守れる器用さと、水準以上の肩と足。パンチ力も秘めているとなれば、確かに使い勝手はいい。ただ、歴代の監督たちが何より評価していたのが、昭和のにおいを感じさせるハングリーさだった。

 高山のような天性の打撃センスはない。変則投法の青柳のような特別な武器もない。坂本ほどの野球脳やリーダーシップもないかもしれない。結局、阪神では目立った活躍はできなかったが、がむしゃらに、必死に取り組む姿を入団当初から見てきたからこそ応援したくなる。

 育成契約で中日入団が決まった後に「一番の恩師」の矢野元監督と食事する機会があった。「空回りしないように頑張ります」と言うと「空回りしてええやん。それがお前やん」と諭された。その言葉を胸に30歳になってもがむしゃらにボールを追いかけている。

 6日の広島戦で6年ぶりのプロ2本目となる右越1号ソロを大瀬良から放った。翌7日には代打で、栗林からプロ初サヨナラ打を右前へはじき返した。9年目で今が一番、光が差している。持ち前の必死さで、日の当たる場所に何とかしがみついてほしい。(記者コラム・山添 晴治)

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