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明秀日立のリ・ブンシュン 超二刀流弾 台湾生まれの留学生が学校初「甲子園→東大」へ満点スタート

スポニチアネックス 2024年7月9日 5時1分

 ◇第106回全国高校野球選手権茨城大会1回戦 明秀学園日立15―3境(2024年7月8日 ノーブルホーム水戸)

 第106回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は8日、18大会で119試合が行われた。茨城では明秀学園日立の台湾人留学生、リ・ブンシュン内野手(3年)が公式戦初本塁打となる右越え3ランを放ち、6回コールド勝ちに貢献。甲子園出場と東大進学の二刀流を目指す左打ちの強打者が、幸先良いスタートを切った。

 壮大な夢へ挑戦する最後の夏が始まった。甲子園出場と東大合格を掲げ、台湾から海を渡ってきた明秀学園日立の李。まずは甲子園へ向けて公式戦初本塁打を放つと、流ちょうな日本語で「ずっと調子が良くなかったのでうれしい」と笑みを浮かべた。

 小学1年から野球を始めた李にとって、日本の野球はいつも憧れだった。13年WBC2次ラウンドは延長戦の末に日本が台湾に勝利。食い入るようにテレビ観戦していた少年は「日本の最後まで諦めない姿に感動した。ここでやってみたい」と強い覚悟が生まれた。

 文武両道を目指す中で甲子園出場経験があり、留学生の受け入れ制度がある同校の存在を知った。日本の野球を深掘りしていく際に目に留まったのが、東大で活躍し、日本ハム入りを果たした宮台康平。「東大からプロなんて凄い」。東大合格という目標もできた。

 野球やサッカーなど全国レベルの部活に所属する生徒が学ぶ普通科では、学力トップのクラスに在籍。現在は野球に集中しているため「合格へはまだまだ頑張らないといけない」と頭をかいたが、授業後の特別講義を受け、練習後に夜中まで勉強する時期もある。得意科目は物理と化学。「理系に進みたい」と目を輝かせた李は、学校史上初の東大合格へ努力は惜しまない。

 台湾での年度始まりが日本と異なることから今年3月で19歳を迎えたが、高野連の大会参加者資格規定では特別な理由がある場合は19歳以下の出場も認められる。最後の夏は不調から従来の4番ではなく7番での出場。「どんな時もベストを尽くすだけ」と集中力を切らさず、5回1死一、三塁では右越えへ3ランを運んだ。台湾にいる両親は甲子園出場がかなえば来日できる予定で「必ず連れて行きたい」と力を込めた。好きな言葉は長期にわたり修練を積む意の「十年一剣を磨く」。異国の地で努力の成果を発揮する時がきた。(村井 樹)

 ◇リ・ブンシュン 2005年3月11日生まれ、台湾出身の19歳。光華小1年で野球を始める。福營中を経て明秀学園日立に入学し、2年秋からベンチ入り。高校通算5本塁打。憧れの選手は元西武・呉念庭(ウー・ネンティン)。1メートル83、88キロ。右投げ左打ち。

 《エース・バットが“2度”火消し》3年生のエース右腕、バット・アスマン・友輝が計1回1/3を1安打無失点に封じた。5回、2点を返されなおも2死一、二塁から救援。先頭に四球こそ与えたが、次打者を空振り三振に封じた。6回は一塁の守備に就いたが無死一、二塁から再登板。後続を退け、金沢成奉監督は「本当は使いたくなかったけどね。まあよく投げてくれました」と称えた。打撃では、6回2死三塁から中前適時打を放った。

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