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阪神・近本が決めた “球団初”2戦連続逆転サヨナラ勝ち さあ真夏のビッグウエーブを巻き起こす

スポニチアネックス 2024年7月10日 5時17分

 ◇セ・リーグ 阪神2ー1ヤクルト(2024年7月9日 甲子園)

 ミラクル再び!! 阪神・近本光司外野手(29)が9日、ヤクルト戦の9回2死満塁から右前へ逆転サヨナラ2点打を放った。7日のDeNA戦に続き、2リーグ制以降では球団初となる2戦連続の逆転サヨナラ勝利。6月30日、敵地で4点リードの8回に一挙5失点を喫して敗れた悪夢も払拭した。勝率5割復帰から再進撃の3連勝。順位は3位のままだが、広島と入れ替わって首位に立った巨人との1ゲーム差を死守した。

 聖地は地鳴りのような大歓声に包まれていた。0―1の9回2死満塁。劇勝か、夢散か――。色濃く引かれた境界線の上でも、近本は平静を保った。

 「流れだと思っていた。何を待つか、何をどう打つか、というよりもタイミングだけ」

 カウント1ボールから田口の2球目、内角寄りの高めスライダーに果敢にバットを出した。見逃せばボールかもしれない。それでも哲学者の脳は「ヒットにできる」と判断した。「打った瞬間落ちるかな、と」。外角低めの初球スライダーとは対角をなす1球に好反応。迷いなく振り切り、猛チャージの右翼・丸山和の前に落とした。7日DeNA戦で劇打した原口が二塁から激走し、本塁へダイブ。悲鳴と歓声を全身に浴び、背番号5は両手を高々と突き上げた。

 「勝ってよかった。2アウトから向こうのエラーもありましたけど、本当にみんな凄くいい仕事をしていた」

 ドラマの幕は育成出身の星・野口が開いた。七夕の夜にプロ初安打初打点を挙げた23歳が9回1死、島田の代打で四球を選んだ。続く梅野の代打・渡辺は右飛。2死、あと1人――。ここから粘った。小幡の代打・原口が左前打し一、二塁。岡田監督が立て続けに繰り出したこの回4人目の代打・坂本は三塁ベース付近へのゴロ。万事休す――と思いきや、北村拓がファンブル。塁は埋まった。仲間が懸命につないだバトンを手に、核弾頭がゴールテープを切った。

 「きょうも逆転でしたけど、先制、中押し、ダメ押しで、先発ピッチャーに勝ちをつけられるような、中継ぎも休ませられるような試合運びはしたい」

 48時間前の再現VTRを見ているような、2戦連続の逆転サヨナラ劇。2リーグ制以降では球団初の偉業こそ、再進撃の号砲にふさわしい。6月30日、神宮で味わった「8回の悪夢」も一掃。近本は「(試合前の)声出しでフミさん(原口)が“大きい波に乗れるチャンスが来てる”と言っていた」と証言した。その言葉通り、7月は5勝2敗と着実に勝利を重ねる。リードオフマンも2戦連続マルチ安打で上昇中。真夏のビッグウエーブを巻き起こす準備は整いつつある。(八木 勇磨)

 ○…阪神が9回、近本の逆転2点打で今季5度目のサヨナラ勝ち。直前の7日DeNA戦もサヨナラ勝ちで、6月18日の日本ハム戦→21日DeNA戦に続く今季2度目の2試合連続となった。前回7日のDeNA戦も4―5の9回に原口の同点打と相手の失策でサヨナラ勝ちしており、2試合連続で劣勢イニングからの逆転サヨナラ勝ちは、2リーグ制以降の阪神では初めて。

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