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都江戸川 高校野球の新風だ!選手主導「セルフジャッジベースボール」で勝った

スポニチアネックス 2024年7月10日 5時2分

 ◇第106回全国高校野球選手権東東京大会2回戦 都江戸川7-6都大森(2024年7月9日 JPアセット江戸川)

 ネクストバッターズサークルにいた都江戸川・伊沢健太(3年)の背後から、背番号3の三林快(同)が耳打ちした。「セーフティーバントもあるよ」。好機が1死一、三塁に広がった6―6の9回。伊沢は初球、きっちり一塁側にセーフティースクイズを決め、決勝点をもぎ取った。

 「打ちたい気持ちもあったけど、チームのためにスクイズしようと思った。何としても決めようと思った」

 ベンチからのサインはなかった。三塁走者・中山昂(こう=2年)と「アイコンタクトして、自分でサインを決めた」と伊沢。関優音(ゆうと)監督も「私含め、チーム全員がスクイズをやるだろうと思っていた」と以心伝心の決勝点に目を細めた。

 選手主導の「セルフジャッジベースボール(SJB)」がチームの強みだ。SJBは5年前からスタート。選手が話し合い、普段の練習メニューや、試合での先発メンバーの提案、ポジショニングなどさまざまな作戦を決定する。三林は「選手主体でやっている。コミュニケーションを取りながら作戦を立てたりしている」と説明。昨年は慶応(神奈川)が「エンジョイ・ベースボール」で夏の甲子園を制したが「SJB」も新時代の高校野球の新風になりそうだ。

 1点を追う6回1死二、三塁でも、2ランスクイズ(記録は一塁内野安打)で一時逆転した。「まだまだ足りないところもありますし、大人の方で“ここは”と注文をつける場面もあるけど、自分たちで高い意識を持って練習していた代。そういうところが生きてきている」と関監督。伊沢は「自分たちの野球をして、一勝でも多く取っていきたい」とSJBを貫き通し、勝ち上がることを誓った。(松尾 知香)

 【◯◯ベースボール&野球】

 ☆エンジョイ・ベースボール 昨年夏の甲子園を107年ぶりに制した慶応(神奈川)が掲げ話題になった。「より高いレベルの野球を楽しむ」という意味で「選手が自ら考えて行動する野球」がテーマ。

 ☆ID野球 90年にヤクルト監督に就任した野村克也氏が提唱した、データ重視の野球。IDは「Import Data」の略。南海時代のチームメートだったドン・ブレイザーの「シンキング・ベースボール」から着想を得た。

 ☆スモール・ベースボール 「スモールボール」とも呼ばれ、機動力やバントなどの小技を重視する野球。元祖はドジャースの名スカウトだったアル・キャンパニスによる「ドジャースの戦法」。2000年代からスモール・ベースボールの言葉が定着。

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