ベルーナドームの「ライオンズ応援」はいつもと違っていた。6月11日の広島戦。左翼側の特別応援席に陣取ったのは花咲徳栄高校吹奏楽部だった。
初回から長谷川信哉、栗山巧、中村剛也らのテーマ曲を力一杯演奏していた。2日前に行われた学園祭の演奏準備と平行して、1軍出場登録されている全野手の応援曲、チャンステーマ、「地平を駈ける獅子を見た」など練習してきた。
西武の7連敗で迎えたコラボ応援の日。「連敗を止めたい」という一心で精一杯演奏した。
結果は1―2の惜敗。スポニチチャンネルのYouTube「とどけ!吹部ダマシイ」が、私設応援団の話を真剣に聞きながら限られた時間の中でどんどん演奏力を高めていく吹奏楽部の姿を追った。その情熱的な演奏を見ればライオンスの選手たちには勝利で応えてほしいと願ってしまう。
今年もプロ野球球団と高校野球吹奏楽部のコラボ応援が各地で行われた。
雨の中で決行されたロッテと習志野高校の共演。楽天が創設20周年の記念として開催した仙台育英高校とのコラボ。オリックスは恒例の「大阪代表バファローズ高校」のイベントに大阪桐蔭高校を招いた。
静岡に誕生し、今季からウエスタンリーグに新規参入したくふうハヤテも浜松商を招いて特別応援を行った。
連敗中の重い空気の中での演奏は簡単ではなかったと思う。それでも球場で花咲徳栄高校の演奏を聴いたであろうファンはSNSで「とても感動して涙でました」「高校生の明るい応援に元気もらえた」「また来年も来てね」と感謝の声を挙げた。
その中に「ゴメンね、せっかく応援してくれたのに勝てなくて…」という声もあった。もちろんファンの一人の意見というのは分かっている。だが、もし来年も開催されるのなら、ライオンズの選手は「応援ありがとう!勝つよ」と約束してあげてほしい。
それが彼ら高校生の努力に報いる最高の手段なのだから。