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相手を威圧する魔曲、味方を鼓舞する魔曲、そして強打者を育てる花咲徳栄の魔曲「サスケ」

スポニチアネックス 2024年7月12日 18時26分

 【君島圭介のスポーツと人間】その曲が流れるだけで相手チームに威圧感を与えて恐怖の渦に飲み込む魔曲。智弁和歌山の「ジョックロック」、龍谷大平安の「あやしい曲」、天理の「ワッショイ」は甲子園球場を一体化してしまう。

 慶応の「ダッシュケイオウ」はこのタイプの魔曲の元祖だろう。

 味方を徹底的に鼓舞し、背中を押してくる魔曲もある。横浜の「第5応援歌」、習志野の「レッツゴー習志野」、専大松戸の「エル・ティグレ」がそうだ。このタイプの元祖は早実の「コンバットマーチ」だろうか。

 もうひとつ。強打者を育てる魔曲がある。それが花咲徳栄の「サスケ」だ。2017年、埼玉勢として初めて夏の甲子園を制して、一躍全国的に有名な曲となった。

 実は花咲徳栄がいつから「サスケ」を演奏し始めたのかは定かではい。少なくも25年以上前からだという。その使い方は独特だ。チャンステーマとして演奏するのは稀で、例えば若月健矢(現オリックス)、愛斗(現ロッテ)、岡崎大輔(現オリックス)、西川愛也(現西武)など、その年のナンバーワン野手が打席に入るときに演奏される。

 現吹奏楽部員で木管低音パートの岡部詩子さん(3年)は「サスケは自分たちも盛り上がるので大好き。士気が上がる。野球部もダンス部も一体となって応援できる」と教えてくれた。

 やはり演奏者が楽しむことで曲の魅力も威力も増す。

 岡部さんが中1のとき、花咲徳栄のダンス部だった高1の姉と甲子園に野球部の応援に行った。「そのとき、迫力ある演奏を聴いて花咲徳栄で野球応援をしたいと思った」と吹奏楽部を目指したという。

 甲子園というのは不思議だ。「サスケ」に背中を押されてプロ野球の世界まで駆け上がる者もいれば、「サスケ」を演奏したくて楽器を手にする者もいる。

 全国各地で甲子園を目指して地方大会が始まった。それぞれの学校の「ジョックロック」や「サスケ」が流れる夏。今年も熱い演奏付きのドラマが繰り広げられる。

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