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【高校野球】和歌山の古豪対決は新宮・新翔に凱歌 向陽はコールド許さぬ意地見せる

スポニチアネックス 2024年7月15日 15時53分

 ◇全国高校野球選手権和歌山大会2回戦 新宮・新翔10―5向陽(2024年7月15日 紀三井寺球場)

 連合チームとして編成された新宮は夏5回の出場を誇る。元阪神の藪恵壹氏を輩出している古豪だ。片や向陽は海草中時代に夏7回出場して全国制覇を2回経験。1931(昭6)年の夏の甲子園では嶋清一投手が全5試合を完封勝利。準決勝、決勝と2試合連続ノーヒットノーランを達成して伝説になった。

 そんな両校の対戦は思わぬ大差がついた。7回表を終わって新宮・新翔が10―3とリード。向陽が無得点ならコールドゲームになる。向陽は意地を見せた。一死三塁から5番・境亮人左翼手(2年)の三ゴロでコールドを阻止。ベンチ前の向陽ナインはガッツポーズで喜んだ。続く8回も無死一、二塁から新宮の失策で1点を挙げて9回まで戦った。

 新宮・新翔を率いた新宮高の畠敏紘監督は「向陽さんの驚異的な粘りは素晴らしかった。(連合チームは)こんなに打てるチームではないのですが、勝てて良かった。連合チームのルールが緩和されて新翔の4人と一緒に戦えて…」と話す。

 強豪だった新宮も昨秋は部員8人となって連合チームを組むことになった。新翔は部員1人でちょうど9人。春に進入生が入って新宮は11人になったが、秋からの連合がそのまま認められた。同じ新宮市内の学校。車で10分、自転車で行き来できる距離にあるから毎日一緒に練習できる。そんな環境が勝てる連合チームを育んだ。

 新翔からは4番・西内佑典二塁手(ゆうすけ=3年)が一人、先発に名を連ねた。その西内が2本の適時打を放って連合チームをけん引した。連合チームの主将・引地秀捕手(3年)は「西内の前にランナーを出せば還してくれる」と絶大な信頼を寄せる。そんな引地も5番を打って4安打4打点。2人で試合の主導権を奪った。

 西内は連合チームの常連だった。「これまでのチームは遠くて土日しか練習ができなかった。新宮高と一緒になって毎日練習できる。小学校から知っているし、ユニホームもいっそのこと新宮と一緒でいいくらい。勝って良かった。安心した」と西内は遠慮がちに話す。引地は「2チームで15人でも戦える。チャレンジャーの気持ちを忘れずに次の試合も戦います」と決意を話した。

 「海草中―新宮中」から連なる和歌山伝統の一戦。「向陽さんとは定期的に試合をさせてもらっています。勝ったり負けたり…。この前は負けたんですけどね」と新宮・畠監督。部員数が減る中でも伝統校の絆は消えない。和歌山の高校野球のレベルが高い理由がそこにある。

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