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宇部商 5回コールド発進!藤田が3番手で無失点 父はサヨナラボークで悲劇の主人公

スポニチアネックス 2024年7月16日 6時3分

 ◇第106回全国高校野球選手権山口大会1回戦 宇部商20―0下関北(2024年7月15日 ユーピーアール)

 山口大会は15日、1回戦5試合が行われた。05年以来19年ぶりの出場を目指す宇部商は下関北に20―0の5回コールドで快勝。背番号19の藤田琉平投手(2年)が3番手で1回を無失点に抑えた。98年夏の甲子園で同校の左腕エースとして活躍し、延長15回のサヨナラボークで悲劇の主人公になった父・修平さん(42)を超える“甲子園2勝”を目指して仲間と奮闘する。

 5回2死一塁。この日の最速130キロ直球で最後の打者を三振に抑えると、背番号19の藤田はふっと息をついた。父とは違う右投げから直球主体のピッチングで1四球は与えたが、1回無失点。昨年はベンチ入りできなかっただけに上々のデビュー戦だった。

 「真っすぐは走っていたんですけど、四球は反省点。ほかの大会よりも重圧をマウンドで感じました」

 同校OBの父・修平さんは98年夏の甲子園に出場。1回戦に勝利すると、2回戦の豊田大谷戦は先発で延長15回210球を投げた。最後は無死満塁のピンチでボークの判定を受けてサヨナラ負け。誰も想像していなかった結末だった。藤田は幼稚園の頃、甲子園で取材を受けることになった父に連れられて初めて聖地を訪れた。「お父さんはあそこで投げたのか。うらやましいな」と野球を始めるきっかけになった。

 スタンドから観戦した父は昨年の夏頃から同校の投手コーチとして選手をサポートしている。密にコミュニケーションを取り、「あれやれ、これやれはない」と選手の自主性を重視している。息子の琉平には「ゾーンでしっかり。守りの時間を短く。投手は試合をつくってなんぼ。四球は絶対ダメ」と言い続けてきた。息子が同じユニホームを着てマウンドで躍動し「うれしいですよ」と笑みを浮かべた。

 85年夏の全国準優勝など春夏19度の出場を誇る伝統校も、夏の甲子園は05年を最後に遠ざかっている。「まずは甲子園に出ることが目標。そしてお父さんができなかった2勝できるように」。藤田は高い志を胸に腕を振る。 (杉浦 友樹)

 ▽98年夏の宇部商 8月16日の2回戦で古木克明(元横浜など)らを擁する豊田大谷(愛知)と対戦。2年生ながら背番号1をつけた藤田は先発で粘りの投球を見せた。2―1の9回に重盗で同点に追いつかれて延長戦に。藤田は2―2の15回無死満塁でボークの判定を受けサヨナラ負けを喫した。4万9000人の観衆が固唾(かたず)をのんで見守った3時間52分の大熱戦だった。藤田は涙を浮かべ「頭の中が真っ白になり、何が起こったか分からなかった」とコメントした。

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