きょう18日、昨年7月18日に脳腫瘍のため亡くなった元阪神・横田慎太郎さん(享年28)の一周忌を迎える。母・まなみさんが本紙取材に応じ、生前に横田さんが講演活動などで得た収入を、慈善団体に寄付していたことを明かした。
「(寄付活動を始めたのは)慎太郎の気持ちそのものでした」
脳腫瘍が再々発し闘病中だった22年3月、病室のテレビ画面に映ったのは、ユニセフのCMだった。すると横田さんが「自分は今、動けないからちょっと募金してみようかな。お母さん、どう思う?」と提案。まなみさんも「それはいいことだよ。自分にも元気が戻ってくるんじゃない?」と背中を押した。
自身のスマートフォンから自動的に引き落とされる設定にし、横田さんは毎月ユニセフに寄付を始めた。亡くなるまでお金を送り続け、今年1月にようやくまなみさんが解約した。また、22年6月に開催した自身のファンミーティングで集まった収益金は阪神時代に脳腫瘍の手術を受け、入院していた阪大病院に寄付。まなみさんが「自分のお金は自分で管理して。本当は体を使っていろんなところに直接行きたかったんだと思いますけど、そういう寄付の形が多くなった」と話すように講演活動などで手にしたお金は、闘病などさまざまな理由で苦しむ人たちに届くようにしていた。
悲しい別れから1年――。まなみさんのもとには、今も横田さんの“声”が伝わってくる。「あるお子さんがICU(集中治療室)に入ったら、慎太郎はすぐに動画を送ってあげたそうで。“実はこんなことがあったよ”と慎太郎が残した言葉を亡くなった後にいろんな人から聞きます。いろんなことを慎太郎は伝えて、残してきたんだなと」。誰かのために…。横田さんの生きざまは消えない。(遠藤 礼)