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「常に心のどこかに横田がいます」中日・板山 “2人分”の全力プレーでレギュラー奪取目指す

スポニチアネックス 2024年7月19日 8時2分

 「イタさん!」――。そんな声が次々に重なっていく。

 12日の中日戦(バンテリンドーム)の練習前、古巣の同僚たちが中日・板山の元に挨拶に訪れていた。

 昨オフに阪神から戦力外通告受け、今季から中日に育成契約で入団した30歳は5月に支配下登録。ここまで打率・296をマークするなど存在感を示している。旧交を温める何気ない光景に見えても、にじむのは1年前とはユニホームの色が変わった男の意地と奮闘。と同時に“違う場所”からも「イタさん」の呼びかけが私には聞こえた気がした。

 昨年7月18日に脳腫瘍でこの世を去った元阪神の横田慎太郎さんもきっとこの活躍を喜んでいるはずだ。2歳上の板山にとって横田さんは同じ外野手のライバルでもあり、可愛い後輩。練習後、一塁ベンチ前で声をかけた私が「もうすぐ一周忌だから横田さんのこと聞きたいんだけど…」と切り出すと「もちろんです。大丈夫ですよ」と応じてくれた。

 「ふとした瞬間に横田のことはやっぱり思い出しますね。1年は本当に早かったですし、本当にもういないのかな?って今も思ったりもします」

 2軍でもまれた時間も長く、昇格を争った間柄でありながら2人の絆は深かった。昨年、横田さんが治療を終え療養に入った際も板山は施設を訪問。感謝の言葉を伝えている。「もっともっと頑張ってる姿を見せたいし横田の頑張ってた姿勢は真似しないといけない」。中日で育成契約から這い上がってきた男には、志半ばでこの世を去った“横田の分も”の思いも当然ある。

 「今、こうやって試合に出させてもらって、その中でタイガース時代のしんどかった時を思い返すといつもそこには横田がいて…。常に心のどこかには、横田がいます」。

 6月9日の横田さんの誕生日には今季初の3安打も記録。板山は、“2人分”の全力プレーでレギュラー奪取を目指す。

(阪神担当・遠藤 礼)  

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