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桐蔭学園8強 昨夏甲子園王者・慶応撃破 1メートル67小さな深松が大きな仕事

スポニチアネックス 2024年7月19日 5時2分

 ◇第106回全国高校野球選手権神奈川大会5回戦 桐蔭学園4ー2慶応(2024年7月18日 BP相石ひらつか)

 第106回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は18日、32大会で172試合(継続試合を含む)が行われ、神奈川大会5回戦では桐蔭学園が、昨夏に107年ぶりに全国制覇を果たした慶応に4―2で勝利して準々決勝に駒を進めた。2―2の9回無死満塁で深松風太外野手(3年)が中前に決勝2点打。名門対決を制し、99年以来の夏の頂点への視界が一気に晴れた。

 難敵を下し、桐蔭学園ナインの笑顔がはじけた。ハイタッチにも自然と力が入る。昨年8月23日の慶応の全国制覇から330日。2―2の9回に7番・深松風太の決勝2点打で8強進出を決めた。

 「とにかく低く、速い打球を打つように意識した。8回に追いつかれるという苦しい展開で打てて良かった」

 神奈川を代表する強豪同士の対戦。4回に1点ずつを取り合い、7回に勝ち越したが、8回に追いつかれた。深松は9回無死満塁で打席へ。マウンドには左腕・鈴木佳門(3年)がいた。「(押し出し)四球でもいい」と3ボールから2球連続で甘い球を見逃した。フルカウントからの6球目も甘い直球。コンパクトなスイングで中前に運んだ。

 相手は昨夏に甲子園を制覇した慶応。最速145キロの小宅雅己(まさき=2年)を中心に好投手がそろう。「エンジョイ・ベースボール」で全国に話題を振りまいたライバルの優勝は、チームにとって巻き返しへのスタートだった。片桐健一監督は「日本一の投手である小宅くんを目標に練習してきた1年間はチームの財産」と誇る。各自が小宅ら慶応投手陣を打ち崩すために練習。身長1メートル67ながら俊足と粘り強い打撃で名門のレギュラーに定着する深松は、今回の対戦が決まってからは「体の近くで、叩くイメージ」と速球対策も行った。その小宅と対戦した4回1死二、三塁ではしっかりと二ゴロで先制点を挙げた。

 夏の大会で慶応とは、この日と同じ球場で行われた4回戦で敗れた22年以来2年ぶりの対戦。「凡事徹底」をモットーに掲げる深松に代表されるように、チームはコンパクトな打撃を繰り返し、全て単打で11安打を積み重ね、13年以来11年ぶりの白星で連敗を4で止めた。99年以来となる夏の頂点まであと3勝。今夏の主役は譲らない。(菊地 一)

 ◇深松 風太(ふかまつ・ふうた)2006年(平18)12月30日生まれ、東京都立川市出身の17歳。小学1年から野球を始め、中学時代は八王子シニアに所属。桐蔭学園では2年秋からベンチ入り。憧れの選手は4学年上で慶大野球部に所属する兄・結太(ゆいた)。1メートル67、63キロ。右投げ左打ち。

 ≪杉本勝利呼んだ粘投≫先発した下手投げ右腕・杉本早由貴(はるき=3年)が7回2/3を10安打2失点と力投した。走者を出しながらもリードは許さない粘りの投球で勝利を呼び込み「抽選が決まってから、ここに合わせてやってきたので勝ててうれしい」と汗を拭った。三塁側応援席から祈るように投球を見つめた母・幸恵さんは「心も技術も、高校に入って凄く成長しました」と感慨を込めた。

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