◇セ・リーグ 阪神0ー1広島(2024年7月19日 甲子園)
熱投も、報われなかった。阪神・村上は8回5安打1失点と先発の役割を果たすも、援護に恵まれなかった。5回無死満塁、シャイナーの遊ゴロの間に許した1点が重くのしかかり、今季7敗目を喫した。
「1点、粘れなかった。そこを粘っていれば、どうなるか分からなかった」
この日は「第1球」から違った。試合前時点で今季対戦打率・412(17打数7安打)と打ち込まれており、特に「1番・秋山」の第1打席に限っては4打数4安打と劣勢で、そのうち3安打は初球を仕留められものだった。そうして迎えた5度目の対戦。村上―坂本バッテリーが選択した初球は、74キロのスローカーブだった。見事にタイミングを外し二ゴロ。「初球(を打ちに)来るのは、ほぼわかっていた。(坂本)誠志郎さんと相談しながらできた」。この日は秋山と4打席対戦し、遊撃・木浪が転倒する不運な内野安打のみの1本に抑えた。
8回のマウンドでは気迫も見せた。味方打線が無死満塁の好機を逃した直後の守備。シャイナー、代打・田中を2者連続で空振り三振に仕留め、2死一塁から矢野も空振り三振に斬り伏せて、小さく吠えた。「点を取れなかった次の回で、なんとかリズムを持ってきたかった」。主戦投手の風格を漂わせた。
129球の粘投。岡田監督からも「ピッチャーそんなん、何も悪ないやんか」と独特な言い回しで賛辞を受け取った。前半戦は防御率2・10ながら3勝7敗。「(個人成績の)借金が4になってしまった。巻き返して、最終的にはプラスで終われるようにやっていきたい」。昨季MVP右腕が、低空飛行のままで終わるわけがない。(松本 航亮)