◇セ・リーグ 阪神0ー1広島(2024年7月20日 甲子園)
<記者フリートーク 阪神担当・遠藤 礼>
6月の千葉遠征から甲子園に戻ってきた梅野が、しみじみと言ったことがある。
「ああいうのが、キャッチャーやってて良かったなって」
6月2日のロッテ戦は、才木の力投で1―0のまま9回に入っていた。先頭の小川、高部の連打で無死一、二塁。前夜までカード2試合連続で土壇場の9回に追いつかれサヨナラ負け。「3日連続の悪夢」がよぎった。迎えたのはソト。フルカウントからの6球目、梅野は直球のサインを出し、内角に構えた。
「ソトのことを知らなかったら、あの場面で外国人に内角なんていけない。セ・リーグで(DeNA時代の)ソトに外角を逆方向にホームランされたり痛い目にあってるから。浩人(才木)が完璧に応えてくれた」
詰まった打球はショート正面に転がり併殺となった。後輩右腕の完封を呼び込み、チームの連敗を止めた価値ある1勝。結果論で語られることの多いポジションだが、辛苦をへた結果、自信を持って出したサインだった。
今でも、新たな発見がある。4月21日の中日戦(甲子園)は序盤から降雨。「初回から砂が飛び散って泥だらけだった(笑い)」と才木のフォークを懸命に前で止めた。選手にはマイナスの環境。ただ、「ミットが濡れた影響で捕球の時にめっちゃ良い音がして。それがちょっと気持ち良かったんです」と笑った。日々進化を期す。
マスク越しに天国も地獄も見てきた。「きついポジションやけど勝った時にピッチャーとハイタッチしてそれですべて報われる」。捕手に生きる背番号2は力強くうなずいた。