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東洋太平洋王者・栗原慶太「俺は勝っていない!」ノンタイトル戦2―1判定勝利も涙の訴え

スポニチアネックス 2024年7月22日 22時46分

 ◇プロボクシングスーパーバンタム級8回戦 東京・後楽園ホール(2024年7月22日 栗原慶太(一力)《○判定●》レナン・ポルテス(フィリピン))

 東洋太平洋バンタム級王者の栗原慶太(31=一力)がノンタイトル戦に臨んだ。2―1(78―74×2、78―74×1)の判定勝利も29戦16敗のフィリピン人に相手にまさかの苦戦。WBA世界バンタム級7位の那須川天心(25=帝拳)の次戦相手候補にも浮上する王者だが、リング上で涙を見せるなど、まさかの接戦に悔しさをあらわにした。

 判定結果を聞く前、負けを確信していた。栗原は2―1の判定結果を聞くと「俺は勝っていない!」と涙ながらに絶叫。「皆さんが思っていることと同じだと思う。結果としては勝者扱いさせていただきましたが、負けました、情けないです、この場をお借りして謝罪させていただきます」。勝利者インタビューを途中で切り上げてリングを後に。勝利したのにもかかわらず、敗者に涙ながらに謝罪するなど、異様な光景が広がった。

 立ち上がりはプレスをかけながらロープ際で左右のフックを浴びせた栗原だったが、中盤以降は作戦もはまらず被弾も目立った。スタミナ切れした終盤は明らかに劣勢で、いつ倒れてもおかしくない状況だった。

 主戦場とするバンタム級より一つ上のスーパーバンタムでの調整試合に臨んだ栗原は「コンディションは万全だった。自分の実力不足」と認めた上で「対策していたものとは違う頭の振り方をされて戸惑った。細かいパンチも当てられず自分の未熟さを感じた」と単調になってしまった攻撃を反省した。

 20日にボクシング転向4戦目でKO勝利した那須川の次戦相手候補として名前が浮上していた。「今月、(日本王者)増田選手や、(全日本王者)堤選手、(WBC王者)中谷選手がいい試合をしていた」。那須川の名前こそ挙げなかったが、同じバンタム級を主戦場とする選手がKO勝利を挙げた姿を見て刺激を受けていたことを明かす。

 ただ「自分もこの試合に勝って彼らとの差を埋めたかった。何とか勝利して前に進みたかったが、僕自身はこれまでかな、という思い。変えられるのであれば、この勝利を負けにしてほしい」と突然の引退も示唆するなどパニック状態。以前、那須川サイドから対戦オファーがあったことを明かした一力ジムの小林一会長は「今のボクシングをやっていたら天心には勝てない。この試合を見たら(那須川陣営は)勝てると思うだろう」と受け止めた。

 同会長は栗原の現役続行を前提とした上で「もちろん話が来たら受けるつもり。あとは本人次第」と話した。栗原も「今は頭がぐちゃぐちゃ。一度冷静になってから(進退は)改めて報告させていただきたい」と思わぬ接戦に心の整理がつかない様子だった。

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