◇第106回全国高校野球選手権佐賀大会決勝 有田工2―1鳥栖工(2024年7月24日 佐賀県立森林公園野球場)
2―1と昨夏代表の鳥栖工に競り勝ち、2年ぶりの甲子園を決めた有田工の梅崎信司監督は、優勝インタビューで号泣していた。手のかかったエース・石永煌希(3年)の完投勝利に感極まったのだが、もう一つ、特別な頂点となった。
昨夏、7月19日の3回戦で唐津西に1―8とコールド負けした。当日、父・廣伸さんが急に倒れ、71歳の若さで急死。選手には伝えられず、チームへ合流したのも試合前ぎりぎりだった。息子が指揮する試合には親戚を乗せたマイクロバスのハンドルを握り、駆けつけてくれた父。梅崎監督は「いい報告ができました」とほっとした表情を浮かべる。
2年前は新型コロナの集団感染で大会8日目に組み込まれ、抽選会や開会式には参加できなかった。「あの抽選会で強豪校の監督さんを見るというのも含めて、甲子園。甲子園練習があるのもうれしいです」と指揮官は2年ぶりの聖地に思いをはせていた。