◇第106回全国高校野球選手権鳥取大会 決勝 鳥取城北5ー4米子松蔭（2024年7月25日 ヤマタスポーツパーク）
3点をリードされた9回裏。敗色濃厚なのに、鳥取城北のベンチから、まだ力強い声が出ていた。
行ける――。次々に奏でる快音が予感を形に変えていく。先頭の東野が中前打で出塁し、代打・矢原も右前打で続く。竹下の一撃もライトへ達し、ライトの失策も絡み、二塁から東野が生還し、2点差に迫った。
鳥取城北の出す声は、さらに力と勇気を帯びたものに変化していく。続く谷口はそれでも冷静だった。意表を突いたバント安打で満塁。形勢は完全に逆転しかに見えた。
しかし…。三塁走者の矢原がけん制タッチアウト。比嘉も見逃し三振に倒れ、ついに2死まで追い込まれた。
それでも、甲子園への強い思いが、ドラマチックな幕切れへ誘っていく。平山の左翼線適時二塁打で、ついに同点。申告敬遠をはさみ、橋本の勝負、そして夏切符を決める一打が中前に達した。