◇大相撲名古屋場所12日目(2024年7月25日 ドルフィンズアリーナ)
照ノ富士に大の里戦の影響は全く感じられませんでした。いつもなら阿炎の攻めに慌てる場面もありますが、この日は冷静に対処。最後は右を差して寄り切る盤石の内容でした。一日一番に集中している証拠です。
前日は大の里が差し手を抜いてくるという想定外の動きに対処できませんでした。相手がうまく取っただけで初日からの流れを見ても安定感、強さは際立っています。場所前の展望でも優勝候補に挙げましたが、正直予想以上の強さです。
今場所は序盤から短い時間の相撲が目立ちます。押し込みながら自分の形になっているので膝などの負担も少ない。強引な技も封印し攻めの姿勢を貫けているので終盤に失速することもないでしょう。
後続に2差つけて残り3日。対戦が予想される豊昇龍に8―0、琴桜にも6―0と圧倒しており、断然有利は揺るぎません。最後まで横綱らしい強さを発揮してドルフィンズアリーナ最後の場所を締めてほしいものです。(元横綱・稀勢の里)