◇第106回全国高校野球選手権茨城大会決勝 霞ケ浦9―3つくば秀英(2024年7月27日 ノーブルホームスタジアム水戸)
1年前の悪夢を、霞ケ浦はナイン全員の力で振り払った。
初の決勝進出となったつくば秀英を9―3と投打で圧倒。5年ぶり3度目の甲子園を決め、高橋祐二監督は「去年の負け方は強烈だった。“悔しさを胸に頑張れ”と言ってきたけど、一致団結してやってくれた」と感無量の表情だ。
投げては技巧派左腕の先発・市村才樹(2年)が踏ん張った。直球は120キロ台後半ながら、1メートル86の長身から投げ下ろすボールには角度があり、90キロ台のカーブを織り交ぜて幻惑した。
7回1/3を11安打ながら3失点。「去年の悔しい思いを常に思い浮かべていた」。自身の前に背番号1を背負っていたエースの悔しさも同時に晴らした。
昨夏の茨城大会決勝。土浦日大を相手に8回まで3―0とリードも、甲子園まであと3アウトの9回、絶対エース・木村優人が5点を失い逆転負けした。
右腕はドラフト3位でロッテに入団。決勝を前にナイン全員のもとには「自分のミスを取り返して下さい」とのメッセージが届いた。
昨夏決勝も6番でスタメン出場していた羽成朔太郎(3年)は2安打2打点と奮闘し「先輩たちの忘れ物を取りに行く気持ちで1年間やっていた」と言った。
悪夢は消え去った。次は甲子園で、思う存分暴れる番だ。