◇第106回全国高校野球選手権広島大会決勝 広陵3ー1広島商(2024年7月27日 マツダ)
今秋ドラフト候補の広陵・高尾響(3年)が7回2/3を投げ1失点と試合をつくり、2年連続25度目の夏の甲子園出場を勝ち取った。
「最後の夏。甲子園では自分が投げて絶対勝つ、という強い気持ちを持ってやりたい」
粘りの投球だった。0―0の2回1死二、三塁、相手7番・小田健登(2年)に三塁への適時内野安打を打たれ、今夏登板4試合目で初失点。それでも動じることなく、以降は「絶対0で抑える」と気持ちを切り替えた。3―1の8回に安打と2与四球で2死満塁とされ、2番手・山口大樹(3年)の救援を仰いだが、役割は果たした。中井哲之監督は「上に行くには高尾だけでは厳しいと言ってきた。この勝利は高尾、山口にとっても財産になる」と目を細めた。
1年春から背番号「1」を背負う高尾にとって、甲子園は「悔しさが残る場所」という。昨夏は3回戦で慶応(神奈川)に延長10回の激闘の末、敗退。今春選抜も2回戦で青森山田(青森)に屈した。そこで最後の夏に向け、制球力向上に努めた。並行して最速148キロの直球を生かすためカーブも磨いた。毎回ブルペンで、10球連続カーブを投げる“縛り”をもうけるなどして特訓。「今は思い描く軌道になった。甲子園でもカーブを有効に使っていきたい」。2年春から自身4季連続の聖地へ。緩急も加わった新スタイルで、3年間の集大成を示す。 (長谷川 凡記)