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日本メダル1号は金!48キロ級・角田夏実が初五輪で涙の頂点 夏季五輪通算500個目メダルのメモリアル

スポニチアネックス 2024年7月28日 1時3分

 ◇パリ五輪第2日 柔道(2024年7月27日 シャンドマルス・アリーナ)

 日本選手団のパリ五輪メダル1号、夏季五輪通算500個目は金メダル!柔道女子48キロ級日本代表の角田夏実(つのだ・なつみ、31=SBC湘南美容クリニック)が27日、決勝で世界ランク2位のバーサンフー・バブードルジ(24=モンゴル)と対戦し、伝家の宝刀である巴投げで技ありを奪い勝利。最後までニッポン柔道の強さを示し、五輪初出場で悲願の金メダルに輝いた。

 1回戦から得意技の巴投げから、流れるような寝技への動きを見せた角田。相手は分かっているはずなのに回避できない。特に準々決勝で見せた巴投げは、マンガのように相手選手が宙をクルリと一回転する完璧な一本だった。準決勝では6分55秒の激闘を制すなど最後まで自分を信じ、最後も必勝パターンの巴投げで強敵を退けた31歳が、夢の舞台で頂点に立った。

 畳の上では目を潤ませながらも涙を流さなかった角田だったが、畳を降り関係者に祝福を受けると、大きな瞳から歓喜の涙がこぼれ落ちた。

 柔道日本女子では最年長記録となる、31歳で迎えた初の五輪。その道を開いたのは19年10月、日本からは地球半周分離れたブラジルで下した決断だった。元々52キロ級で、ブレークした16~17年ごろは阿部詩にも連戦連勝だったが、初黒星を喫した後は完全に形勢逆転。東京五輪への道がほぼ断たれたころ、所属の山田利彦監督から階級変更を打診された。

 「積み上げてきたものがゼロになってしまう」。打診されては断ったが、その度に「もう一度考えろ」と促された。何度もやり取りが繰り返され、迎えた19年10月のグランドスラム・ブラジリア大会は52キロ級で3位。頂点に届かず、気持ちが揺らいでいた時、山田監督から再度打診され、「最後に懸けたい」と転向を決断。期限ぎりぎりで、11月の講道館杯に48キロ級でエントリーする手続きを、地球の裏側で行った。

 結果的に東京五輪は届かなかった。それでも21年世界選手権から圧巻の3連覇。23年は出場した全3大会でオール一本勝ちという圧倒的な強さを見せつけた。巴投げから関節技に持ち込む勝ちパターンに、どんな強敵もはめ込む。8月6日で32歳になる今年は大厄。1月と3月に痛めた膝の回復が遅れに遅れ、他のケガも重なるなどコンディションは一向に上がらなかったが、勝利の方程式は最後まで揺るがなかった。

 強豪とは言えない東京学芸大出身。高校で柔道を辞め、ケーキ屋さんになる将来設計図を思い描いていたが、和気あいあいとした部の雰囲気で柔道の楽しさを思い出し、サンボや柔術を習いに行くことを許される環境が、独自のスタイルをつくり上げた。

 谷亮子が04年アテネ大会で獲得して以来、5大会ぶりとなる女子48キロ級の金メダル。日本柔道の傍流をひたすら突き進み、国民的ヒロインと同じ境地にたどり着いた。

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