◇第106回全国高校野球選手権栃木大会決勝 石橋9―8国学院栃木(2024年7月28日 エイジェックスタジアム)
県内有数の進学校である栃木・石橋を初の夏の甲子園に導いたのが、今年で就任9年目となる福田博之監督だ。
「子どもたちにこんな力があるとは。子どもたちの顔を見たら涙が止まりませんでした」
中学時代に野球に打ち込んでいた福田監督だが、進学した真岡高では野球部の門を叩かなかった。当時、父親が他校の監督をしていたといい「息子はあのレベルか、などと言われたら…と自信がなかった」と振り返る。
ただ、今では「逆に(高校時代に)野球をやらなかったから、高校野球が素晴らしいと思えるのかも」という。
宇都宮大で再び硬式野球をプレー。生物の教諭として壬生、真岡、宇都宮北といった進学校に赴任し、その先々の野球部を強化してきた。
「どの学校の子どもたちも、不思議な粘り、諦めない力があった。私はあまり技術的なことは指導しない。いいところを伸ばせれば、と思っている」
夏の甲子園期間中は、時間ができれば夜行バスに飛び乗って観戦に出かけてしまう「甲子園マニア」。21世紀枠で出場した昨春に続き、今度は初の夏の甲子園切符を手にした。
「21世紀枠に選んでいただいたお礼をするには、もう一回実力で行くしかないと言っていた。“石橋を(21世紀枠で選んで良かった”となるように。それが使命だと」と福田監督。
験も担いだ。大会前、学校の駐車場で木の下の車を止めておいたら、鳥のフンでいっぱいになってしまったという。それでも「これも運かな、と思ってそのまま乗っていた。今日、やっと洗車できます」と笑った。