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阿部一二三 笑顔の金!目標は野村超え前人未到の「五輪4連覇」担ぎ技+足技の進化で26歳連覇

スポニチアネックス 2024年7月29日 1時1分

 ◇パリ五輪第3日 柔道(2024年7月28日 シャンドマルス・アリーナ)

 詩、やったぞ!――。男子66キロ級の阿部一二三(26、パーク24)が28日、決勝でウィリアン・リマ(24=ブラジル)を2分36秒、合わせ技一本で破り連覇を達成した。この勝利で日本柔道通算50個目となる金メダルとなった。日本柔道の五輪連覇は男女合わせて大野将平以来史上8人目。

 悪夢から始まった一日だった。会場に響き渡る妹の泣き叫ぶ声を聞きながら、自身の初戦となる2回戦の準備をした。動揺がないはずはない。しかし一二三は、2回戦、準々決勝と積極的な柔道を貫き2戦連続合わせ技一本で準決勝の舞台にたどり着いた。そして迎えた決勝の舞台。最後まで「阿部一二三」の柔道を貫き、隅落としと袖釣り込み腰で合わせ技一本を奪い東京五輪から無敗で連覇を達成した。スタンドで声援を送った家族も笑顔でガッツポーズ。詩は涙を流し兄の偉業を喜んだ。一二三は、阿部家にとってつらく険しかった一日を、歓喜で締めくくった。

 丸山城志郎との激しい代表争いが日本柔道史上初となるワンマッチの決定戦に持ち込まれ、男女全14階級で最も遅く決定した東京五輪から3年。パリは妹・詩らと共に最速となる昨年6月に代表に内定した。

 「たくさんの選手がプレッシャーと闘っているが、自分は東京までの道のり、経験値が、誰よりも高いという自信がある」。東京で金メダルを獲得したことよりも、そこに至る過程が、阿部一二三を唯一無二の孤高へと昇華させた。

 それは試合内容でも見て取れる。相手を根こそぎ持って行くような豪快な担ぎ技が持ち味だが、以前はもろさと背中合わせ。相手が警戒して距離を取られると投げ切れず、前掛かりになった時は捨て身技の餌食となることもあった。しかしこの1、2年は以前から習得に取り組んできた足技に冴(さ)えを見せ、相手が腰を引けば前技で見事に仕留める。五輪前最後の次戦となった3月末のグランドスラム・アンタルヤ大会ではさまざまな技でオール一本勝ち。思わず詩に、「今回は俺の方が技の切れが凄かったわ」と自画自賛するほど、完成度はより高まった。

 目標は柔道界でまだ誰も成し遂げていない五輪4連覇と公言する。東京、そしてパリという2つの通過点をクリアし、4年後はロサンゼルスで、野村忠宏と並ぶ3連覇に挑戦する。

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