◇第106回全国高校野球選手権埼玉大会決勝 花咲徳栄11―9昌平（2024年7月28日 大宮公園）
この瞬間が待ち切れなかった。11―9で延長10回タイブレークの末に5年ぶり8度目の甲子園出場が決まると、花咲徳栄の石塚裕惺（ゆうせい＝3年）は遊撃から真っ先にマウンドに駆け寄って人さし指を突き上げた。涙が止まらなかった。
「今日は全打席、試合を決めてやると思って振りました」。今秋ドラフト候補に挙がる4番打者は4安打4打点。高校No・1遊撃手としてすさまじい集中力を大一番で発揮した。初回1死二、三塁から右中間への先制2点三塁打を放つと、ベースを叩いて仲間を鼓舞。その後も5回2死満塁から左前2点打を放つなど大暴れし、岩井隆監督も「マークされる中でよく打ってくれた」と目を細めた。
昨夏は決勝で浦和学院に敗れ、石塚は最後の打者だった。1年後に雪辱を果たすため「嫌でも毎日思い出すように」と寮の部屋には浦和学院が歓喜している号外を貼って毎日眺めてきた。
悔しさを力に変え昨秋、今春ともに県大会を制したが「夏までやらないと決めた」と歓喜のポーズは封印した。昨秋から県内無敗の18連勝で夏も頂点に立ち、ようやく喜びを爆発させた。「目標は日本一なので、号外もそれまで剥がしません」と笑った石塚。甲子園で大暴れする。（村井 樹）
▼日本ハム・野村（18年度卒）甲子園は特別な場所なので楽しんでもらえたらと思います。僕も楽しみにしています。