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早実 サヨナラで9年ぶり30度夏の聖地 内囿「一球入魂」劇打壮絶打撃戦制した

スポニチアネックス 2024年7月29日 5時3分

 ◇第106回全国高校野球選手権西東京大会決勝 早実10―9日大三(2024年7月28日 神宮)

 第106回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は28日、11大会で12試合が行われ、10大会で代表校が決まった。西東京大会では早実が日大三との壮絶な打撃戦を制し、10―9でサヨナラ勝ち。清宮幸太郎(現日本ハム)を擁した15年以来9年ぶり30度目の出場を決めた。

 早稲田伝統の精神「一球入魂」を体現した。9―9の9回無死満塁。8番・内囿(うちぞの)光太(3年)は2万人の大歓声にも「打席に入ると周りの声が聞こえなくなる」と集中した。左前へのサヨナラ打。両校合わせて24安打の打撃戦に終止符を打ち、応援歌の紺碧の空が神宮にこだました。

 リードが4度も入れ替わるシーソーゲームを制し、和泉実監督は声を詰まらせた。「相手が日大三高ですので勝てばより一層強くなることは分かっていた。この光景を見られてうれしい」。斎藤佑樹(元日本ハム)を擁し全国制覇した06年も日大三を下して西東京代表を勝ち取っていた。

 早大で初代監督を務めた飛田穂洲(すいしゅう)が残した一球入魂は大正から昭和、平成、令和と時代が変わっても健在だ。プロ注目の遊撃手・宇野真仁朗主将(3年)は「一球一球に心を込める」と解釈する。高校通算64本塁打の右のスラッガーは厳しくマークされるも1安打、4四死球を選び3得点した。

 昨年は慶応(神奈川)が107年ぶりに夏の甲子園優勝を果たし、大学球界では慶大が明治神宮大会を制覇した「慶応イヤー」だった。今春は早大がリーグ制覇。12―2で優勝を決めた6月2日の早慶戦を観戦した宇野は「やっぱり気持ち。全員野球でつないでみんなで勝つ。凄い」と胸を熱くした。それから56日後に同じ神宮で再現に成功。「慶応さんはエンジョイ・ベースボールを甲子園優勝という結果で示していた」。今年は「早稲田イヤー」とすべく初めての甲子園に乗り込む。

 くしくも前回のパリ五輪が開催された1924年に甲子園球場で初めて全国中等学校優勝野球大会(現在の選手権)が行われ、出場した19校で早実は唯一、今夏の地方大会を制した。「初出場くらいの気持ちで僕も早く甲子園に慣れたい」と和泉監督。伝統校が甲子園100周年の歴史に新たな一ページを加える。(柳内 遼平)

 ▽1924年 ペトログラードがレニングラード(現サンクトペテルブルク)に改称し、2月に英国がソビエト連邦を承認。日本では後の昭和天皇となる裕仁皇太子が1月に結婚。第2次護憲運動が起き6月に加藤高明内閣ができ、翌年「普通選挙法」が成立した。スポーツ界では4月1日に第1回選抜大会が開幕。5月から7月までパリ五輪が行われた。8月に甲子園球場(当時は甲子園大運道場)が竣工(しゅんこう)。11月14日に力道山が誕生した。

 ≪三沢3軍コーチJr由和2安打2得点≫巨人・三沢興一3軍投手チーフコーチを父に持つ由和(2年)は「1番・中堅」で出場。初回に投手強襲の内野安打で出塁して先制のホームを踏むなど2安打2得点と活躍した。父は帝京で3年春にエースと4番を担い選抜優勝に導いた。自身初の甲子園に向けて「自分が野球を始めた時から憧れの舞台。自分も優勝したい」と決意を新たにした。

 ▼西武・野村大(18年度卒)東京は高校数が多いので甲子園に行けるのは凄いこと。宇野君の打撃に期待したい。

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