◇パリ五輪第3日 フェンシング(2024年7月28日 グランパレ)
男子エペ個人の加納虹輝(26=JAL)が日本フェンシング界に新たな歴史を刻んだ。個人では日本初の金メダルを獲得。表彰台の真ん中で両手を突き上げ、最高の笑みを浮かべた。
決勝は地元フランスのヤニク・ボレルと対戦。3回戦で見延和靖、準々決勝で山田優を破った“日本キラー”だ。超がつく完全アウェーでも、26歳はひるまない。武器のスピードと巧みな剣さばきが、大一番で生きた。第1ピリオドからリードを奪い、15―9で押し切った。
表彰式後のインタビューでは、歓喜に浸った。
――率直な気持ち
「まだ実感は全然湧いてない。フェンシングやってて、このグランパレの舞台で出来て楽しかったし、こんなところで試合できるのは最初で最後だなとおもったので、良い経験にもなりましたね」
――相手は山田、見延を破った相手。敵討ちの思いはあったか
「ありました。日本チーム2人負けて、3人目が負けるわけにはいかないぞと。そこは気持ちで勝ちにいきました」
――アウェーを感じたか
「歓声がかなり大きかったので。圧倒されるようなことはないですけど、審判の声を聞きづらかったり、試合にしにくい部分もあったんですけど、最後まで自分の試合に集中できたこと思います」
――認めてくれた感じもあった
「そうですね、フランスのエースのボレル選手に勝ったことで認めてもらえないと困りますかね」
――山田の選手は試合中にフランス国歌を歌っていた
「それ聞こえてなかったです。結構自分の試合に集中していました」
――先行したからフランスびいきはなかった
「それはなかったと感じました」
――試合の進め方は
「まず攻めてくるだろうなというのはあったので、先にリードしたいところもあったので。攻めてきたところをカウンターで取って、リードしてそこからリードを広げて行く作戦でした」
――負けた2人からのアドバイス
「そこは特に。ボレル選手は何回も試合しているので、わかりきったことなので、今更なところはあります」
――対ボレル
「特にこれを対策しようというのはなくて、ただ自分の実力を発揮するのと。ボレル選手がどういう戦略で来るか、すたいるでくるか。そこであわせて、試合で変えていった」
――個人のメダルは太田雄貴の銀(08年北京の男子フルーレ個人)が最高だった。
「僕は太田さんを見てフェンシングを始めているので、その人を超えることになるとは全く思ってもいなかったので。感慨深いと言いますか、信じられないっすね、本当に」
――団体金との違い
「団体の方がみんなで喜べたりするのはある。個人は僕だけの実力だっていうのもある。そこは自信にはつながりますね」
――またフェンシング始める子もいるのでは。
「僕自身、フェンシング始めてくれる子がたくさん増えてくれたらいいと思っていますし。太田さんを見て僕がフェンシングを始めて、僕を見てフェンシング始めるこがいる。フェンシング界にとっては良い流れだと思います」
――太田さんの北京を見ていたらフェンシング始めていないのか
「やってなかったと思います」