Infoseek 楽天

18歳の松下知之が銀!憧れの萩野さんに近づき「最高!次は自分も金を獲りたい」

スポニチアネックス 2024年7月29日 7時15分

 ◇パリ五輪第3日 競泳(2024年7月28日 ラデファンス・アリーナ)

 男子400メートル個人メドレー決勝で、初出場の松下知之(18=東洋大)は4分8秒62で銀メダルに輝いた。大舞台で自己ベストを1秒42更新して、今大会の日本競泳陣1号メダルを獲得。最後の自由形で5番手から3人を抜く狙い通りのレースだった。瀬戸大也(30=CHARIS)は4分11秒78で7位。世界記録保持者のレオン・マルシャン(22=フランス)が4分2秒95の五輪記録で優勝した。

 タッチした瞬間、松下はスタート台に灯ったメダルを意味する赤いランプを冷静に確認した。「おっ、光ってる。(メダルを)ゲット」。直後に感情を解放して左拳を何度も突き上げた。表彰式では今大会の競泳で初めて日の丸がポールに上がり「最高!なかなか味わうことができない景色」とメダリストになったことを実感。「苦しい練習に耐えてきてよかった」と実感を込めた。

 体に覚え込ませた勝利の方程式を遂行した。最初のバタフライを終えて7位。後方からレースを進め、続く背泳ぎは6位でターンした。隣のレーンを泳ぐ瀬戸とは体1つ分の差。他の選手のラップタイムは頭に入っており「どの選手がどの位置にいるかだいたい分かった。瀬戸選手と体1つ分ならいける」と冷静に戦況を分析していた。

 第3泳法の平泳ぎで5位に浮上。得意とする最後の自由形でリミッターを外した。350メートルのターンは4位。最後の50メートルで2人を交わして表彰台を勝ち取った。「人生で一番緊張した」という大一番で狙い通りの会心のレース。「レースプランは体が覚えていた。ストローク、テンポ数、ラップタイム、自由形で爆発できるように練習してきた」と胸を張った。

 16年リオ五輪で金メダルを獲得した萩野公介さんの姿を見て、五輪を夢見るようになった。同郷のヒーローの大ファンになり、数え切れないほどサインをもらった。萩野さんと同じモデルのゴーグルはすべて購入。萩野さんが掲載された雑誌はお風呂で読み込んだ。自称「萩野マニア」は今春に萩野さんの母校・東洋大に進学して平井伯昌コーチ(61)に師事する。

 OBの萩野さんがプールに顔を出すことも多く、五輪に対する心構えなど直接アドバイスももらった。萩野さんは17歳で初出場した12年ロンドン五輪で4分8秒94のタイムで銅メダルを獲得。松下はメダルの色も記録も上回ったが「萩野さんは(ロンドン五輪は)高校3年生だったし、(リオ五輪で)金メダルも獲っている。次は自分も金メダルを獲りたい」と力を込めた。

 優勝した世界記録保持者のマルシャンとは5秒67差。表彰式では大歓声を浴びた地元の英雄の横で「やっぱり今回はマルシャン選手が主役の大会」と再確認し「自分は4年後もまだ若い。しっかりマルシャン選手を超えれる実力をつけて臨みたい」と決意を新たにした。花の都の銀メダルは物語の序章。萩野さんとマルシャンの背中を追い、28年ロサンズルス五輪では必ず頂点に立つ。(木本 新也)

この記事の関連ニュース