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【照ノ富士優勝一夜明け会見】「今の力士たちが一番強い」群雄割拠の大相撲界の実情と切実な思い

スポニチアネックス 2024年7月29日 10時8分

 大相撲名古屋場所で自身10度目の優勝を果たした横綱・照ノ富士(32=伊勢ケ浜部屋)が千秋楽から一夜明けた29日、名古屋市瑞穂区の宿舎で会見を行った。

 常々目標として公言していた、節目となる10度目の優勝をついに実現。「キツいことを乗り越えるために2桁優勝を目指して頑張ってきた。応援してくださった方に約束していたことは全部守れたかなとホッとしています」と達成感を口にした。両膝や腰などいくつもの故障を抱えているため「目標を立てないと、中途半端な気持ちで相撲は続けられない」という満身創痍(そうい)の横綱。「じっくり考えて、次に向けて頑張っていきたい」と新たな目標をこれから模索する考えを示した。

 また、今と昔のレベルの違いについても言及。「自分が入門してから14年やってきて、今の力士たちが一番強いと自分の中では感じる」と持論を展開した。春場所、夏場所と入門から1年半以内で大銀杏(おおいちょう)の結えないちょんまげ力士が優勝。ここ2~3年の間に平幕優勝や初優勝力士が多数誕生しており群雄割拠の時代と言われている。

 「今の力士たちはみんな相撲に向き合う姿勢が昔よりも良くなっている。だからこそ、誰が優勝してもおかしくないようになっている。稽古の番数が少ないとかいろんなこと言われていますけど、みんなそれだけではなくて治療とかトレーニングとかものすごく頑張っている。肌を合わせているからこそ分かること。見ているだけの人にああだこうだ言ってほしくない」。現在の大相撲界の実情を明かし、心ない声に対する切実な思いを口にした。

 記録やタイムで計れる他競技を見れば、昔よりも今の方が全体的にレベルアップしていることは周知の事実。筋肉量や栄養の摂り方など、スポーツ科学の観点から見ても“昔の方が強かった”という論調は幻想に過ぎないことが明白だ。

 「今が一番理想的な相撲を取れている。目指してきた相撲に近い相撲が今場所は取れたかなと思う。筋トレにしても今まで挙げられなかった重量を挙げられるようになった。にもかかわらず、稽古場や本場所でも昔と違って絶対に勝てるという自信がない。相撲を取っていて簡単に勝てるわけではない」。度重なる病気やケガの影響で序二段まで番付を落とし、そこからはい上がって頂点まで上り詰めた横綱だからこそ分かる真実がそこにあった。

 年々レベルが高くなる中でも最高位を守るのが横綱の宿命。「みんな毎場所毎場所成長していると思うし、それにつられて自分も成長していかないといけないという思いでやっている」。ちょんまげ力士の優勝が2場所続いていた中、番付の重みを示した横綱の強い覚悟が表れていた。

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