◇第106回全国高校野球選手権東東京大会決勝 関東第一8－5帝京（2024年7月29日 神宮）
第106回全国高校野球選手権（8月7日開幕、甲子園）の出場校を決める地方大会は29日、7地区で決勝が行われた。東東京大会では関東第一が8―5で帝京に打ち勝ち、5年ぶり9度目の出場。緻密なスモールベースボールで、一発長打を誇る帝京のビッグベースボールを制し春夏連続出場を決めた。30日には愛媛大会で決勝が行われ、全49代表校が出そろう。
東京最強打線にスモールベースボールで打ち勝った。相手を上回る11安打に、関東第一らしく小技を絡め8得点。神宮の青空に校歌を響かせると、涙を流しながら春夏連続での甲子園出場を誇った。
「帝京は打ってくるチームだが、自分たちは関一らしいつなぎの野球だけ意識した」。高校通算60本塁打を誇る4番の主将・高橋徹平（3年）でさえ貫いたチーム打撃。一発攻勢の帝京のような派手さは求めない。泥くさく重ねた得点が勝敗を分けた。
2回の先制点、逆転を許した直後の4回の同点打、さらには4得点した5回の3点目は、いずれも内野ゴロの間に三塁から走者を生還させた。得点力に自信がある分、相手の内野はいずれも定位置。それを見た各打者は、叩きつけるような打撃に徹した。4回1死二、三塁から二ゴロで同点とした飛田優悟（3年）は「ヒットじゃない方がダメージがあると思うし、こういう野球を磨いてきた」としてやったりだ。
4失策した帝京とは対照的に好守も光った。4回には高橋が三遊間への鋭い打球を横っ跳びでつかみ、出塁を許さなかった。今春の選抜では八戸学院光星（青森）との開幕戦で、延長11回タイブレークの末に敗退。延長11回の守備では三塁・高橋の悪送球も絡んで3失点していた。打っては3回1死二、三塁から逆方向への右越え2点二塁打。「春よりチーム力は格段に上がっている」と手応えを口にした。
選抜以降、攻守ともに基本に忠実な野球を磨いてきた関東第一。米沢貴光監督は誇らしげに言う。「これがうちの野球。このスタイルでまずは選抜の借りを返したい」。聖地誕生100周年の節目に、夏の過去最高ベスト4を上回る準備は整った。 （村井 樹）
《149キロ右腕・坂井 歓喜のち熱中症》
○…今秋ドラフト候補の最速149キロ右腕・坂井遼（はる＝3年）は6回から登板して4回2安打1失点で胴上げ投手となった。最後は中堅手・飛田のグラブに白球が収まる前から満面の笑みを浮かべ、歓喜の輪の中心では人さし指を高々と突き上げて喜んだ。立ち上がりの6回こそ失点したが9回には最速147キロを計測。試合後は熱中症で取材対応ができないほどの力投で圧倒した。米沢監督は背番号1を託したエースを「今までは投げてみないと分からない子だったが、精神的にも凄く成長して落ち着いて投げてくれた」と称えた。