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73キロ級・橋本壮市 32歳初五輪で意地の銅メダル!“微妙判定”乗り越え…笑顔でスタンドに投げキッス

スポニチアネックス 2024年7月30日 1時25分

 ◇パリ五輪第4日 柔道(2024年7月29日 シャンドマルス・アリーナ)

 男子73キロ級の橋本壮市(32、パーク24)が29日、3位決定戦でアキル・ジャコバ(28=コソボ)を下し銅メダルを獲得した。日本柔道男子歴代最年長32歳での初五輪。女子の舟久保に続き日本柔道の意地を見せた。

 微妙な判定に泣いた準々決勝から3時間。気持ちを切り替えて臨んだ敗者復活戦を突破した橋本が、3位決定戦でも自身の信じる柔道を貫き銅メダルをつかみ取った。開始10秒で切れの鋭い背負い投げで技あり。攻めの姿勢を見せ続けた。終盤にポイントではリードも指導2つ目をもらい緊迫したが、最後まで攻めリードを守り抜いた。

 笑顔で深々と一礼した後、スタンドにバンザイからの投げキッス。厳しい表情を崩さずに戦い続けた一日だったが、最後は橋本らしい明るく柔らかな笑顔で観衆に向かって「ありがとうございました」と一礼した。

 08年北京大会の女子48キロ級で銅メダルを獲得した谷亮子の32歳339日を2日超える、32歳341日での五輪初出場。16年リオデジャネイロ、21年東京五輪は同学年でもある大野将平の壁に阻まれたが、日本柔道の歴代最年長記録を更新しての五輪初出場は、橋本の執念と生きざまそのものを表す勲章だ。

 東海大相模高、東海大時代は団体戦出場に固執し、リミットに5キロも足りないまま81キロ級で出場。それでもインターハイを制すなど、素質も能力も非凡だった。大学の途中で適性階級である73キロ級に変更したが、まるでスピード感の違う柔道に戸惑い、成績は頭打ち。代表とは無縁で、大学4年で最初の世界王者になった大野の背中は遠のくばかりだった。

 それでも根っからの努力家は、当時はまだ実業団柔道の新興勢力だったパーク24入り後に才能を開花させた。66キロ級の第一人者だった海老沼匡(現パーク24コーチ)を兄貴分として慕い、常に稽古やトレーニングを共にした。当時は一匹狼で、他者を受け付けないオーラを漂わせていた海老沼氏。「(自主的な)朝練で僕が走っていたら、反対から橋本が走ってきた。意識高くやっているなと思い、徐々に認めていった」。東京五輪代表を逃し、一時は引退に気持ちが傾いたが、絶え間ない努力と執念で、パリの地を踏んだ。

 初戦では開始10秒すぎにいきなり得意の左の袖釣り込み腰“橋本スペシャル”をさく裂した。豪快な投げ技に柔道大国・フランスの観衆から大歓声が巻き起こる。その後も“橋本スペシャル”を連発し相手につけいる隙を与えなかった。結果は思い描いたものではなかったが、目指してきた五輪の舞台で「橋本の柔道」は貫いた。

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