◇パリ五輪第6日 柔道(2024年7月31日 シャンドマルス・アリーナ)
男子90キロ級の村尾三四郎(23=JESグループ)が31日、初戦となる2回戦でクレンクリストフェル・カリユライド(29=エストニア)を相手に開始44秒で鮮やかな一本勝ちを収め、準々決勝に進出した。
期待の「三四郎」が、最高の五輪デビューを果たした。強豪ひしめく階級で、ここまでも波乱が続く中で23歳が貫禄を見せた。
相手の動きを冷静に見極めた村尾は、開始44秒、一瞬の隙を突いて鮮やかに大外刈り一本。完璧な技にスタンドから大歓声が巻き起こった。会心の勝利にも村尾は表情を変えず、前を見据えた。
2月のGSパリ大会は膝を痛めていた影響でよもやの初戦敗退。だが、3月のGSアンタルヤ大会では準決勝で22年の世界王者ボボノフ(ウズベキスタン)に一本勝ちするなど優勝し、4月のアジア選手権も制して復調を印象づけた。パリでの敗戦を機に「外国人選手に対する組み手や距離感、自分の技のつなぎを確認できた」とし、五輪本番へ手応えをつかんでいた。
母が米国出身でニューヨーク生まれながら、「生粋の日本人に育ってほしい」との父の思いから三四郎と名付けられた。中学で親元を離れて兵庫県へ柔道留学するなど自ら進路を選択し、少しずつ成長。神奈川・桐蔭学園高3年時に急きょ出場したGS大阪大会で銅メダルを獲得し「令和の三四郎」と注目を集めるようになった。東京五輪出場は果たせなかったが、22年にワールドマスターズ制覇、23年世界選手権銅メダルなど着実に結果を出し、当初は混戦とみられた代表争いでパリ五輪切符を手にしていた。
◇村尾 三四郎(むらお・さんしろう)2000年(平12)8月28日生まれ、米ニューヨーク出身の23歳。2歳で帰国し、幼稚園で柔道を始める。桐蔭学園高―東海大。90キロ級で23年世界選手権(ドーハ)3位。1メートル80、左組みで得意技は内股、大外刈り。