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C大阪がJリーグでは異例のサステナビリティ専門部署立ち上げ 本気で取り組むSDGs

スポニチアネックス 2024年8月1日 12時0分

 暑い。酷暑の続く日本の夏。東京都の1923年7月の平均気温は24・0℃だったのに対し、2023年7月のそれは28・7℃。常に右肩上がりとなっているわけではないが、100年で4・8℃も上昇した。確実に地球温暖化は進んでいる。

 2015年に国連で採択された「SDGs」(持続可能な開発目標)は、世界共通の課題。サッカー界でもついに、J1クラブのC大阪(株式会社セレッソ大阪)が8月1日付で、社長室内専門の部署、サステナビリティグループを立ち上げた。J1川崎F、J2清水など、熱心に取り組んでいるクラブは存在するが、専門の部署となると異例だ。

 きっかけはグループ長に就いた宮島武志副社長(49)の日常の1コマだった。中にビーズが入ったクッションの処分に困り知人に相談していたところ、ゴールドパートナーのキリンビバレッジ株式会社がペットボトルの「水平リサイクル」(使用済み製品の容器を回収して、同じ種類の製品として生まれ変わらせるリサイクルのこと)に取り組んでいることを知った。同社によると、新規で作られる通常のペットボトルに比べて、石油由来樹脂使用量を90%、GHG(温室効果ガス)排出量を50~60%も削減することができるという。

 伝え聞いた森島寛晃社長(52)はさっそく動いた。今年2月24日のFC東京との開幕戦から「SDGsブース」を常設。同社の協力を得て「Bottle to Bottleプロジェクト」(ペットボトルをペットボトルに生まれ変わらせる)をスタートさせた。直近のホームゲームだった7月20日の新潟戦では、90リットルのゴミ袋150袋分、440キロのペットボトルを回収。計算上、ホームゲーム1試合で約1トンのGHGが削減できるという。実施時期は未定だが、ラベルやキャップを剥がしたきれいな状態で回収できるよう、選手や森島社長自身が正しい方法をレクチャーする映像をハーフタイムで流すことや、サポーターがスタジアム外から持ち込んだきれいな状態のペットボトルと景品を交換することなども計画している。

 2012年からヤンマーホールディングス株式会社、大阪ガス株式会社と取り組む「CO2ゼロチャレンジ」も含め、このように企業との連携によってSDGsをさらに促進するために、今回の立ち上げに至ったというわけだ。今後はパートナー企業のみにとどまらず、例えば3月30日の湘南戦で実施したフードドライブ(家庭で余っている食品を集め、食品を必要とされる方へ寄付すること)など、多角的に活動を推し進める。

 気象庁は2011年から「高温注意情報」の、2020年から「熱中症警戒アラート」の発信を始めた。運動を行わないよう呼びかける、ということは、十数年前では考えられなかった。森島社長は言う。「将来の子どもたちも、私たちと同じようにサッカーができるような環境にしたい。今はどう思われても、10年後、20年後に、こういう活動をやってくれていてよかったと思ってもらえればそれでいいんです。サッカーをさせてもらえることは、当たり前ではない。サッカークラブであることを生かして、この活動を大きなムーブメントにしたいと思っています」。サッカーも、Jリーグも、セレッソ大阪も、全て持続可能な存在であり続けるために、クラブを挙げて全力でチャレンジする。

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