◇セ・リーグ 中日1ー0ヤクルト(2024年7月31日 バンテリンD)
涙が止まらなくなった。プロ初勝利のお立ち台。育ての親の祖母・栄子さんの話を振られると、中日・松木平の涙腺が決壊した。
「小さい頃からおばあちゃんに育てていただいて感謝しかない。また…、いい姿を…、いい姿を見せたい」
7月8日に念願の支配下登録。プロ2度目の登板は6回4安打の力投。村上から2奪三振と強気の投球を貫いた。
インドネシア人の父と日本人の母の間に生まれ、2歳の時に両親が離婚。父とは音信不通となり、小学2年時には母を病気で亡くした。以降、苦労をかけながら育ててくれたのが栄子さん。現在は千葉県の老人ホームで暮らし、この日の観戦を考えたものの、体への負担を考慮して断念したという。「“人生は長いし嫌なことだらけだけど、逃げないで”と言われていました。育成の4年間は苦しいことが多かったけど、逃げずに向かって良かった。早く会いたい」
記念球はもちろん、最愛の祖母に届ける。(山添 晴治)
◇松木平 優太(まつきひら・ゆうた)2003年(平15)2月24日生まれ、大阪市出身の21歳。精華高では2年夏から野手でベンチ入りし、エースの3年夏は大阪独自大会で2回戦敗退。20年育成ドラフト3位で中日入団。今季2軍14試合で2完投を含む9勝3敗、防御率1・84をマーク。7月8日に支配下登録された。1メートル78、78キロ。右投げ右打ち。