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個人総合金の岡慎之助「恩返しできた」右膝大ケガ乗り越え団体と2冠「ノーミスで演技できて良かった」

スポニチアネックス 2024年8月1日 4時1分

 ◇パリ五輪第6日 体操(2024年7月31日 ベルシー・アリーナ)

 男子個人総合の決勝が行われ、20歳の岡慎之助(徳洲会)が86・832点で金メダルを獲得した。12年ロンドン、16年リオデジャネイロを制した内村航平、21年東京の橋本大輝(セントラルスポーツ、当時順大)に続き、日本勢は4連覇となった。橋本は84・598点で6位だった。

 1メートル55の小さな新王者が、個人総合の黄金の系譜をつないだ。「団体と個人で金の獲得を目指して練習してきた。練習の成果がつながってうれしい。ノーミスでやりきるのが一番の目標だった。まずはノーミスで演技できて良かった」と歓喜に浸った。

 地道な努力が金色の扉を開いた。19年世界ジュニア選手権で個人総合、団体の2冠に輝いて将来を期待された逸材だが、22年4月、全日本選手権の跳馬で悲劇が襲った。

 高難度技「ロペス」の着地に失敗し、右膝前十字靭帯を断裂。全治8カ月の大ケガで目の前が真っ暗になった。それでも、諦めない。「代表になった自分を思い描いていた」。弱音は吐かずにリハビリを乗り越え、弱った心肺機能を戻すために患部を固定したままロープ上りで体をいじめ抜いた。23年に復帰。その後は次世代エースとして突き抜けた。

 「大きなケガをして多くの方がサポートしてくれた。少しでも恩返しできた」

 4歳から体操を始め、天性の柔軟性を持つ。中学まで通った地元のおかやまジュニアでは、とにかく倒立を叩き込まれた。得意のあん馬、つり輪、平行棒…全ての要素に努力の跡がある。「しなやかな動きができるところが自分の持ち味」。強固な基礎があるからこそ、夢舞台でも輝くことができた。

 20歳で世界の頂に立った。体操ニッポンのエースとして、チームをけん引していく責務を小さな体に背負う。「常に挑戦していく心だけは忘れずにしたい」。視線の先には、明るい未来が広がっている。

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