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入江聖奈さん パリ五輪ボクサー性別騒動「線引きする必要があるのはもちろんだけど…少し悲しい気持ち」

スポニチアネックス 2024年8月2日 15時44分

 東京五輪ボクシング女子フェザー級金メダリストで22年11月に引退した入江聖奈さん(23)が2日までにXを更新。パリ五輪のボクサー性別騒動について言及した。

 今回騒動になっているのは、1日(日本時間2日)に行われたボクシング女子66キロ級2回戦で、イマネ・ケリフ(アルジェリア)とアンジェラ・カリニ(イタリア)が対戦。開始わずか46秒でカリニが棄権し、ケリフが勝利した。ケリフは性別適格性検査に合格しなかったため昨年の世界選手権で失格となった過去があり、パリ五輪への出場が賛否を呼んでいる。今大会ではケリフの他に、57キロ級のリン・ユーチン(台湾)が出場。リンも昨年世界選手権で性別適格性検査に不合格となっていた。

 入江さんにとって、特にリンは、東京五輪アジア・オセアニア予選決勝で完敗した最強のライバル。五輪本番は対戦前にリンが敗れての金メダルだったため、22年アジア選手権出発前には「リンさんに勝たないと心から世界一とは言えない」と話すなど、強烈に意識していた相手だった。

 31日の投稿では、ニュース記事を引用し「どこからが女性でどこからが男性なのか、早急に明確な線引きをする必要があるのはもちろんなんだけど、リンさんの鬼のような練習量を知ってる身としては、少し悲しい気持ちになる」と胸中をつづった。

 「それと、国際大会で活躍するような選手だと、ドーピング検査が義務付けられていて、尿の採取は係員の前で行っているから、身体的特徴は女性だと判明していると思うし、、」と記した。

 一方で「擁護している、とかではないです。年下の男の子にボコボコにされて悔しかった経験もあるし、一発逆転がほぼ無い女子ボクシングにしかない駆け引きがあると思っているし」「ただ、XY染色体があったとて身体的特徴に現れなかった場合とか、それがどれくらい運動能力に影響するのか、など専門家の意見がない状態で『男が女をボコボコにしている!』みたいな選手の尊厳を傷つけるような発言は嫌です」とつづった。

 国際オリンピック委員会(IOC)は1日(日本時間2日)に公式サイトで「パリ2024ボクシング部門とIOCの共同声明」と題した声明を発表。「すべての人は差別なくスポーツをする権利を持っています」と主張。また性別については「これまでのオリンピックボクシング競技と同様に、アスリートの性別と年齢はパスポートに基づいています」と説明。

 「パリ2024オリンピック競技大会で競技する2人の女性選手について誤解を招く情報が見られます」とした上で「2人は、東京2020オリンピック競技大会、国際ボクシング協会(IBA)世界選手権、およびIBA公認トーナメントを含む女性カテゴリーで長年にわたり国際ボクシング競技に参加してきました」と女性として数々の国際大会に出場してきたことを説明。続けて「これらの2人の選手は、IBAによる突然の恣意的な決定の被害者です。2023年のIBA世界選手権の終盤に、彼女たちは突然、正当な手続きなしに失格となりました」とした。

 また「資格規則は進行中の競技中に変更されるべきではなく、いかなる規則変更も適切なプロセスに従い、科学的証拠に基づくべきです」とし「IOCは、現在2人が受けている誹謗(ひぼう)中傷を悲しんでいます」と遺憾の意を示している。

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