山梨学院大時代から約15年指導する神田忠彦コーチ(65)は厳しくも温かい目で教え子の力泳を見守った。
レース直後に「どうでしたか?」と聞かれ「残念だったな」と返答。鈴木から「ほら、やっぱり(褒めない)」と苦笑いされたやりとりが、深い信頼関係を物語った。
五輪を控えても海外遠征は行わず、山梨学院大で普段通りに練習した。33歳の年齢は関係ない。能力を上げるために限界を超える負荷を与える「オーバーロードの原則」に従い、大学生と同じメニューを課した。選手を強くするのは地道な練習。「海外にも行ってないし、一番、日本水連のお金を使ってない」と豪快に笑う姿に信念がにじんだ。
鈴木から現役続行に対する意見を求められると「知るか」と突き放した。「加齢で練習をこなせなくなればやめた方がいいし、できると思えばやればいい」と素っ気ないが、本心は違う。「付き合えるところまでは付き合いたい」。大学職員で来年定年を迎えるが、師弟関係はまだ続く。