◇パリ五輪第10日 陸上(2024年8月4日 フランス競技場)
男子100メートル決勝が行われ、ノア・ライルズ(米国)が自己ベストの9秒79(追い風1・0メートル)で金メダルを獲得した。銀メダルのキシェーン・トンプソン(ジャマイカ)も9秒79。1000分の1秒の計測で、その差はわずか0秒005差だった。
ライルズは昨年の世界選手権(ハンガリー、ブタペスト)で100、200、400メートルリレーの3冠を達成。3冠を狙うパリでも、まず第一関門を突破した。
銅メダルのフレッド・カーリー(米国)が9秒81。7位で9秒88、最下位8位で9秒91だった。
サニブラウン・ハキーム(東レ)は同日の準決勝3組で自己ベストの9秒96をマークしたが、日本勢92年ぶりの決勝進出はならず。準決勝後に「ここでメダル取っている選手がいかに凄いのか、自分が出場したことで感じた部分が大きい。レベルがもう、全然違う」と話していたが、決勝は空前のハイレベルなレースとなった。
【ライルズと一問一答】
――この結果が米国の陸上界にとってどうなっていくか。また自身の今後は
「私たちがスポーツとしてすべきことは、みんなが観に来られるようにすること。わかりにくいウェブサイトを探したり、お金を払って視聴するウェブサイトを探したりする必要はない。これは世界的なスポーツなのだから、アクセスしやすくする必要がある。だから、私たちはこの競技を世界に見せないと」
――スタートは緊張していたか?
「緊張していたというより、何が起きるのか興味深かった。タフな闘いになることは分かっていたから」
――どういう風に準備したか、気持ちを落ち着けたか
「準備に関しては、何年もかけてきたこと。2021年に銅メダルを獲った後、変わらなければならない、進化しなければならないと言ったように、旅は始まった。どの年も同じではない。トラックに立つたびに同じ気持ちにはならないし、どの大会でも同じ気持ちにはならない。ブダペストで感じたようには今は感じていない。ブダペストでは、最速のタイムを持っていたので、私は優勝候補として来た感じがした。今回は、周りが準備万端で、自分も準備しなければならないと。どんな状況でも、レーンさえあればそこで自分が何者か証明することができる」
――レース中に他の選手が自分を追い越した時どういった心境になるのか
「最初はかなりの感情が動く。少しイライラするが、次第に興奮に変わる。そして“次の練習でこれを防ぐために何をするか”を考える。常に“どこを改善できるか”と考え続けている。誰かが私を打ち負かしたとき、それが自身をさらに良くする機会だと考えている。だからこそ、前進し続ける。自己発見の旅をしているような感じで。フレッド・カーリー、キシェーン・トンプソン、ノア・ライルズ――地球上で最速の3人だ」