◇パリ五輪第10日 男子ゴルフ(2024年8月4日 ゴルフナショナル=7174ヤード、パー71)
最終ラウンドが行われ、首位と3打差の4位から出た21年マスターズ覇者の松山英樹(32=LEXUS)は6バーディー、ボギーなしの65で回り、通算17アンダーで日本男子初の銅メダルを獲得した。
【佐藤信人の目】東京五輪の雪辱を果たす銅を手にした松山選手だが、金メダルの可能性が十分あっただけに複雑な心境だと思う。ゴルフの内容は金のシェフラー銀のやフリートウッドと比べても遜色がなかった。それどころかショットの切れは上回っていた。
彼の凄いところは、終盤で競る展開になってもミスをしない強さにある。追い込まれれば追い込まれるほどグッと集中力が高まり、良いショットを繰り出してくる。日本人離れした感じで、見ていて誇らしい気持ちになった。
勝負事に“たられば”は禁物だが、カップのふちでボールが止まった8番やボールがカップをなめた18番のバーディーパットが決まっていれば、メダルの色は変わっていたはずだ。金と銅の差は紙一重だった。
元々、アイアンの精度は米ツアーでも屈指の名手。それに加え今季はドライバーショットの安定感が増したことが、好結果につながっている。五輪会場のゴルフ・ナショナルもティーショットの出来がスコアを左右する難しいセッティングだった。しかし、勝負どころでのミスは1度もなかった。
日本男子初のメダルを期待され、その期待に見事に応えたのは素晴らしいこと。ただ本人は物足りない気持ちがあるかもしれない。だが、周囲の評価は間違いなく上がる。それが、彼をさらに一段上のステージに引き上げてくれるはずだ。(プロゴルファー、パリ五輪テレビ中継解説者)