◇パリ五輪12日目 レスリング(2024年8月6日 シャンドマルス・アリーナ)
レスリング女子68キロ級の尾崎野乃香(21=慶大)が6日、3位決定戦で前回東京五輪銀メダリストのブレッシング・オボルドゥドゥ(ナイジェリア)を下し銅メダルを獲得した。
5日の準々決勝で敗れた相手、東京五輪銅メダリストのメーリム・ジュマナザロワ(キルギス)が決勝に進出したことでつかんだ銅メダル挑戦のチャンス。涙の敗戦から一夜明け、敗者復活戦を6―0で突破し、メダルマッチでも前回五輪銀の強敵に勝利した。
「気持ち切り替えて、今日の朝から敗者復活戦に臨み、3位決定戦に勝つことができてホッとしている。何より応援してくれた人たちに、一度どん底を見た後にはい上がって…試合することで勇気とか諦めない思いとかを見せられた。銅メダルだけど、みんないっぱい応援してくれて。母、父、友達に少しでもいい姿を見せられたと思う」
序盤から前回五輪銀メダリストに隙を与えなかった。そして開始1分に繰り出した高速タックルで2点を先制。後半も開始早々に高速タックルを繰り出し、相手の動きを封じた。自分の持ち味を存分に出し切って3―0。勝利を決めた瞬間、スタンドの応援に向かって「やったぁ~!」と笑顔で叫んだ。応援団には胸の前でハートマークをつくり、マットを下りる時には感極まった表情も見せたが、悔し涙から一夜明け、やり切った晴れやかな表情で歓声に手を振り続けた。
吹っ切れた。学んだ。「4年後…昨日は4年後と言い切れなかったけど、今日は次は4年後を絶対に目指すと心から思えた」。悔し涙を流し、気持ちを切り替え歓喜をつかんだ2日間。尾崎にとって心技体すべてにおいて成長を感じた初五輪になった。
階級を上げての挑戦。「ここまでこれて本当に良かった。挑戦したことが間違っていないことが分かった。金メダルは獲れなかったけど、このオリンピックで気持ちの面とか、こういうふうに臨まないといけないんだと分かった。昨日はそれを考える時間があった。次に向けて頑張ります」。銅メダルを手に、新たな4年間の挑戦への一歩を踏み出した。