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「やったぁ~!」尾崎野乃香が歓喜の銅メダル!涙の準々決勝敗戦から一夜…笑顔で絶叫 慶大女子初の表彰台

スポニチアネックス 2024年8月7日 4時50分

 ◇パリ五輪12日目 レスリング(2024年8月6日 シャンドマルス・アリーナ)

 レスリング女子68キロ級の尾崎野乃香(21=慶大)が6日、3位決定戦で前回東京五輪銀メダリストのブレッシング・オボルドゥドゥ(ナイジェリア)を下し銅メダルを獲得した。

 5日の準々決勝で敗れた相手、東京五輪銅メダリストのメーリム・ジュマナザロワ(キルギス)が決勝に進出したことでつかんだ銅メダル挑戦のチャンス。涙の敗戦から一夜明け、敗者復活戦を6―0で突破し、メダルマッチでも前回五輪銀の強敵に勝利した。

 序盤から前回五輪銀メダリストに隙を与えなかった。そして開始1分に繰り出した高速タックルで2点を先制。後半も開始早々に高速タックルを繰り出し、相手の動きを封じた。自分の持ち味を存分に出し切って3―0。勝利を決めた瞬間、スタンドの応援に向かって「やったぁ~!」と笑顔で叫んだ。応援団には胸の前でハートマークをつくり、マットを下りる時には感極まった表情も見せたが、悔し涙から一夜明け、やり切った晴れやかな表情で歓声に手を振り続けた。

 5日の準々決勝敗戦後は涙を堪え「ちょっと受け入れられない…」と声を絞り出した尾崎。一夜で何とか気持ちを切り替えた。初戦は32秒で勝利を決める最高のデビューを飾ったパリ五輪。慶大女子初の金メダル獲得を目標に挑んだ初五輪は、最後の最後に意地を見せ銅メダルをつかみ取った。

 一度は五輪出場が絶望的となった。22年世界選手権は五輪階級で一つ下の62キロ級を制覇。同級でのパリ出場を目指していたが、同年12月の日本選手権、翌23年の全日本選抜選手権に敗れ、世界選手権出場を逃した。この大会で元木咲良が2位に入り、出場権を獲得。同大会は非五輪階級の65キロ級を制した尾崎だが、目の前で五輪出場の可能性が消え去り、喜びではなく、悲しみの涙を流した。

 が、チャンスは巡ってくる。68キロ級の石井亜海が5位に入って日本の出場枠は獲得したものの、表彰台は逃して五輪代表は確定せず。その場で階級制スポーツでは無謀とも言える6キロも重い階級への挑戦を決意すると、9、10月の杭州アジア大会後から本格的に準備。12月の全日本選手権、今年1月のプレーオフで石井との直接対決を制し、まさに大どんでん返しでパリ行きの切符を獲得した。

 慶大女子初の五輪レスラー。大学では単位取得がシビアで、五輪選手であっても授業や課題が免除されることは一切ない。練習は基本的に外部で行うため、時として孤独感にさいなまれることもあるという。それでも「結局ここまで来たら、私にしかできないことを、どこまでできるか」と覚悟を決めた。レスリング界のゲームチェンジャー、二兎を追うロールモデルとして信念を貫き、金メダル獲得という思い描いていた結果ではなかったが、初の五輪で表彰台にたどり着いた。

 ◇尾崎 野乃香(おざき・ののか)2003年(平15)3月23日生まれ、東京都出身の21歳。08年北京五輪で銅メダルを獲得した浜口京子を見たことをきっかけに、レスリングを開始。小5で初の全国制覇を果たし、その後も数々のタイトルを獲得。世界選手権は初出場だった21年に62キロ級で3位、22年優勝、23年は65キロ級で優勝。成城学園小中、帝京高を経て、21年4月に慶大環境情報学部に入学し、現在4年生。1メートル66。名前の由来は「春の野の息吹のように、周囲に優しい影響を与える人になってほしい」(利佳さん)との思いから。

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