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2軍練習施設でDeNA・大和が教えてくれたシーズンを戦い抜く難しさに記者も共感

スポニチアネックス 2024年8月8日 8時3分

 5日の2軍練習施設「DOCK」午後2時。記者は4日に出場選手登録を抹消されたDeNA・大和と話す機会があった。

 今季38試合、打率・256、3打点だったチーム最年長36歳は「心と体のバランスがともなっていない」と明かした。これだけの経験豊富な選手が示した弱音。黙って話を聞き続けた。

 そのとき、「DOCK」の気温は35度を超えた。ギラギラした日射しのもと、記者もフラフラ。集中力を保つことも困難で、体力も春と夏では全く違う。

 DeNAは春季キャンプ前夜に全体ミーティングでシーズンを通したチーム方針を確認する。その指針にそって戦ってきた。

 だがブレない戦術の一方で、選手のメンタルは日々変化する。春、夏、秋。ベストコンディションで体が動く春。酷暑で疲労がたまり体が動かなくなる夏。シーズンが深まり、自身の来季について考え始める秋。心境の変化が表す季節ごとの成績は、データで説明できない「繊細」な部分だろう。

 大和はここ数年、「得点圏打率の鬼」と呼ばれ続けたが、今季は得点圏打率・056。一方で、7月27日の巨人戦でプロ通算200犠打を見事に達成した。

 好機の1本、犠打。プレッシャーも違うし説明も困難。大和を数字だけで見れば、「得点圏で適時打も打て、小技もできる男」だ。だが、その数字も今の心境だと結果に結びつくのは難しい。

 現在は酷暑の夏。明らかに春先とは戦う環境が違う。環境が変われば選手のメンタルも変わる。大和の言葉を思い返すたび「人間は数字だけでは動かせない」思いが強くなる。

 そのことを踏まえ、DeNAが「勝つ」ために、残りシーズンも強力打線で「打ち勝つ」という概念をふりほどいてもいいのではないかと思う。チーム力の変化、選手の心境の変化、環境の変化をもとに、戦い方のアプローチを変える。勇気がいるが、これだけの充実したメンバーがいれば、方法は多くある。

 大和ほどの選手が心と体のバランスについて触れた。現在チームは4位。シーズンを戦う上で、チームも選手も「ブレない」戦いの中に変化が必要な場合があることを、それが教えてくれている気がする。(記者コラム 大木 穂高)

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