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文田に続いた88年ソウル以来、男子複数金メダル 重い腰&すり足から生まれる驚異的な圧力

スポニチアネックス 2024年8月9日 3時3分

 【佐藤満 評論】グレコ勢による2日連続の金メダル、本当に素晴らしい。日下の決勝は序盤こそ相手に腕をきめられ戸惑った様子だったが、消極的姿勢による不利な体勢からの寝技を守り切り気持ちを切り替えて自分のレスリングに徹したのが良かった。

 文田のような華麗な投げ技はない日下だが、相撲経験からくる重い腰、すり足で前に出る力は驚異的だ。0―2の第2ピリオドの逆転シーンは、その圧力で場外に出されての失点を恐れた相手が、踏ん張る際にバランスを崩したところをうまく投げたものだった。

 日下は自らを「凡人」と呼ぶそうだが、結果が出なかった中学までのレスリングは、全てフリースタイル。器用さに欠ける日下にはグレコが合っていただけのことだ。70~80キロあたりの階級は競技人口が多く、レベルが高い。その王者は超人だ。21年東京で屋比久翔平が銅メダルを獲り「日本選手でもいける」という意識が生まれたのも大きかった。まだ23歳。前に出る力はシンプルだが、対策は難しい。五輪連覇も狙えると思う。

 須崎の3位決定戦は圧倒的だったが、これが実力だろう。初戦はあまりに慎重に入りすぎた。私自身、連覇を狙った92年バルセロナの初戦で慎重に入り過ぎ、結果的に肋骨を折って敗れた苦い思い出がある。五輪のマットはいつも、全てを出し尽くすべき場所。この経験を生かしてロサンゼルスで雪辱してほしい。(88年ソウル五輪金メダリスト、元日本男子強化委員長、専大教授)

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