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グレコ日下 “恩師”黒田さん「目立たず本当に凡人だった」 小4から中3まで土俵で基礎つくった

スポニチアネックス 2024年8月9日 3時3分

 「凡人ではなく努力の天才」。そう語るのは、五輪王者に上り詰めた日下がレスリングを始めた3歳から高校卒業まで一貫して指導した竹下敬さん(57)だ。高松北高OGだった日下の母・晃子さんと職場が同じだった縁で、高松ジュニアクラブで預かることを提案すると、「その代わりに全国で優勝させてください」と頼まれた。当時は体が小さく甘えん坊。なかなか芽が出ず、中学時代に全国3位に入ったのが最高。約束を果たせたとは言い難かった。

 そんな中で日下は高松市に隣接する三木町の相撲道場で現在のレスリングスタイルにつながる基礎をつくっていく。小4から中3まで指導に当たったのが、日下が通った前田小で教員を務めていた黒田良治さん(69)。学級では「ボソッとして目立たない子。本当に凡人だった」と笑うが、週末の稽古には一生懸命取り組んだ。レスリングと同様になかなか成績は出なかったが「中3で人格が変わった」と努力が芽吹いたことを懐かしむ。

 黒田さんが「相撲とグレコは非常に似ている」と言うように、相撲で磨いた力と技は、上半身のみが攻防の対象となるグレコに存分に生きた。四股やすり足で養った下半身や体幹の強さ、土俵際で相手と体を入れ替える身のこなし、差しの技術など。加えて中3で65キロほどだった体格で、100キロを超える巨漢に立ち向かうことで、勝負度胸が備わった。

 日下やその後輩で今年4月のアジア選手権82キロ級を17歳の若さで制した吉田泰造の活躍を受け現在はクラブの中学生を毎週土曜日、黒田道場で相撲の稽古を付けさせているという竹下さん。決して環境には恵まれていない香川からレスリング王者を生み出した背景には、2人の情熱と工夫があった。

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