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【森口祐子の目】逆境で見せた山下美夢有の精神力「代表の座を争った選手の思いも感じ取りプレーしている」

スポニチアネックス 2024年8月9日 12時43分

 2日目のラウンドを見て、あらためて山下美夢有選手の精神力の強さを感じました。

 私は注目している選手がその日どんなプレーをしそうなのかを判断するために、いつも1番ホールのプレーを意識して見ています。タフで難易度の高いスタートホール。山下選手はしっかりフェアウエーをキープ。池絡みのグリーンは、方向や距離感の狂いを許さない上にシビアなピン位置。ひるまず攻めたセカンドショットにわくわくしました。

 パットは惜しくもカップに蹴られた。続く2番、池越えのパー3。ひるまず攻めてのバーディーチャンス。勝負事に“たら、れば”は禁物ですが、どちらか入っていれば…。

 彼女のプレー自体は良かったのですが、前半の他の選手の爆発力が凄かったので、置いていかれるような形になりました。1番でバーディーを取れていれば、もっと楽な展開になったと思います。

 10番でティーショットを池に入れ、12番ではラフにつかまりボギーを叩いてしまいました。嫌な流れでそのまま崩れてもおかしくなかった。でも、そこから彼女はギアを入れ直しました。

 15番で長いバーディーパットを決め、17番ではセカンドショットを1・5メートルにつけバーディー。2オンを狙えた最終18番も3打目をしっかり刻んでバーディーで締めくくりました。

 ゴルファーの18ホールは、山あり谷ありで一つの人生を歩んでいるようなものです。苦しい時に諦めず、失敗から学んで自分のできるベストを尽くそうとしていた山下選手の姿勢は素晴らしかった。さすが日本ツアーの2年連続ランキング1位の選手という感じでした。

 その気持ちの強さの背景には、パリ五輪日本代表の座を争った他の日本選手への敬意もあったはずです。途中で崩れた時に“ここで諦めるわけにはいかない”と、出たくても出られなかった選手の姿が脳裏に浮かんだのでないでしょうか。そういう選手たちの思いも感じ取りながらプレーしていたと思います。 五輪の舞台で戦っている彼女の表情は、日本にいる時と変わりません。淡々とした中にも前向きな強さが伝わってきます。

 首位との差は5打に縮まりました。メダル圏内まではわずか2打差です。決勝ラウンドも楽しみにしています。(プロゴルファー)

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